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アイルランドの本(小説・児童書・YA)を紹介するブログです。

SUNDAY INDEPENDENT NEWCOMER OF THE YEAR 2018ショートリスト

An Post Irish Book Awardsの1部門である、SUNDAY INDEPENDENT NEWCOMER OF THE YEAR 2018。

Newcomerの通り、新人賞の位置づけです。

An Post Irish Book Awardsについては↓

rokuyon64.hatenablog.com

受賞作品

NOTES TO SELF(by EMILIE PINE) 
Notes to Self: Essays (English Edition)

Notes to Self: Essays (English Edition)

 

性暴力にフェミニズム、鬱などなど。衝撃的な内容で埋め尽くされたエッセイ集。

表紙が衝撃的ですよね。昔の医学書のようです。こちらはノンフィクション部門でもショートリスト入りしていました。

著者は大学で現代演劇の助教授をされています。プロフィールを読むとかなり文化に造詣の深そうな方ですね。

ショートリスト作品

THE EARLIE KING AND THE KID IN YELLOW(by DANNY DENTON) 
The Earlie King & the Kid in Yellow (English Edition)

The Earlie King & the Kid in Yellow (English Edition)

 

アイルランドに雨が降る。黄色づくめの少年がEarlie Kingから赤ん坊を盗み出した。何かがある王の娘に、しゃべる像。Earlie Kingの監視があまねく行き届いているアイルランドで、少年は自分のマークを残していく。

ディストピア小説です。表紙にインパクトがあって目を引きますね。

THIS HOSTEL LIFE(by MELATU-UCHE OKORIE) 
This Hostel Life

This Hostel Life

  • 作者: Melatu Uche Okorie,Dr. Liam Thorton
  • 出版社/メーカー: Independent Publishing Network
  • 発売日: 2018/05/19
  • メディア: ペーパーバック
  • この商品を含むブログを見る
 

3つの物語の短編集。アイルランドへ移民してきた黒人女性の話。日々の中で受ける人種差別や性差別を描く。

アイルランドでの人種差別描写が非常にリアルなのか、Goodreadsのレビューでは「(読んでいて)自分が恥ずかしくなった」「鋭い指摘」と評されていました。人間、中々自分以外の人の境遇は想像しづらいものです。その中で小説は他者の痛みや感覚を教えてくれる貴重な存在なのかもしれません。

THE LOST LETTERS OF WILLIAM WOOLF(by HELEN CULLEN) 

ロンドン東部、the Dead Letter Depot(配達不能郵便物課)でWilliam Woolf(ウィリアム・ウルフ)は働いていた。郵便番号がないもの、字が汚すぎて読み取れないもの、雨で濡れてしまったもの、それらを捌いていくのがWilliamの仕事だった。ある日、宛名に‟My Great Love”とだけ書かれた手紙が届く。

これ、An Post Irish Book Awardsのサイトの書影ではカラフルな手紙が沢山しきつめてあるものでした。上記amazonのリンクだと折りたたんだ手紙を開いた風な表紙になってますね。どちらも凝っていて、かつ内容に合ったもので好きです。

PROMISING YOUNG WOMEN(by CAROLINE O’DONOGHUE) 
Promising Young Women (English Edition)

Promising Young Women (English Edition)

 

Jane(ジェーン)は26歳独身。ネットの世界では何でも相談事を受け止め、適切なアドバイスをしてくれるJolly(ジョリー)という女性になり切っていた。しかし現実世界で既婚者の上司にアプローチされた時、Janeは最悪の選択ばかりしてしまう。

ジャンルがダーク・コメディになっていました。あらすじを読むと重たいというか、まま昼ドラ展開なのですが。

MIND ON FIRE(by ARNOLD THOMAS FANNING) 
Mind on Fire: A Memoir of Madness and Recovery (English Edition)

Mind on Fire: A Memoir of Madness and Recovery (English Edition)

 

母の死後、躁うつ病に苦しみながらも舞台脚本家として執筆を続けた作者の自伝。自殺未遂やホームレスなど、経験したことを赤裸々に描く。

この本、ちょうどさっきまでamazonの試し読みをしていました。プロローグが1文です。読点のみで続けられる文章はまるで表紙のような渦に呑み込まれていく感覚がしました。

 

以上、受賞作品とショートリスト作品です。

性差別や人種差別、ディストピア等、社会に訴えるものが多く選ばれている印象です。