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アイルランドの本(小説・児童書・YA)を紹介するブログです。

紹介:Flying Tips for Flightless Birds

本情報 

Flying Tips for Flightless Birds

Flying Tips for Flightless Birds

 

ジャンル:YA、サーカス、LGBT

ページ:384

あらすじ

Finch(フィンチ)とBirdie(バーディ)は双子で、Franconiサーカスの人気空中ブランコ乗り。

しかしバーディが不幸な事故に遭い、ブランコに乗れなくなってしまう。フィンチが新たにペアを組むことになったのは、変な転校生Hector Hazzard(ヘクター・ハザード)だった。

サーカスの一員、そして学生としての二重生活で、フィンチとヘクターは絆を深め、色々な事を学んでいく。

試し読みしての感想

鳥のように華麗な双子と変人ヘクター

すごい洋画っぽい言い方しました。名前からして双子は鳥を連想させますし、サーカスの花形です。対してヘクターは大人しく、女子から話しかけられても受け答えが下手くそです。せっかくギリシア神話の英雄ヘクトールから来た名前を持っているのに。ちなみに、ヘクター本人は自分の名前を指して「マーベルのキャラクターみたいな名前」と言っています。

本来なら関わりのなさそうな組み合わせですが、そういった人たちが出会うからこそ物語が生まれるもの。フィンチたちの場合は学校が彼らを結び付けました。

若い文章

最近は海賊や料理の歴史本、政治家の話を読んでいたせいか、すごく文章が若く見えました。「それくらいググっておいてよ」なんて台詞がぽろぽろ出て来ます。それ以外も何か文章が輝いて見えるくらいキャッキャした文体でした。若さが眩しい。

他、この小説の特色として章の最初がバーディのブログ文章から始まっていることがありました。サーカス団員を増やす目的のブログで、それを読んだフィンチが色々反応しています。何かこう、現代っぽいというか年相応っぽい文章に、青春から遠く離れた私は胸をときめかせてしまいます。

それから学校生活の描写もリアリティがあって楽しく読めますね。新しいクラスメイトであるヘクターに、クラスの人気女子とその取り巻きたちが話しかける場面が出てくるのですが、ここでの返答次第では今後の学生生活が変わってくる…!みたいな、そんな平和な緊張感がありました。

著者について

1977年、北アイルランドベルファスト生まれ。YA作家。

今作がデビュー作。若い作家たちのための勉強会を開いていたりと意欲的な方です。