紹介:Skin Deep
本情報
ジャンル:ミステリー
ページ:368
*Kindleだとプロローグと1章まで試し読みができます。
あらすじ
Cordelia Russell(コーデリア・ラッセル)はシャワー室で血を洗い流していた。寝室にはまだ死体があるだろう。
小さい頃、アイルランドの小さな島で暮らしていたコーデリアは父に可愛がられ、時に女王様気分になっていた。成長して南フランスのコートダジュールで暮らすようになっても彼女は気取った女性のフリをしていた。しかしその生活も破滅を迎えることになる。
試し読みしての感想
beauty is only skin deep, but ugly goes clean to the bone
美しさは表層のもの、醜さは内からにじみ出るもの、といったところでしょうか。アメリカの作家ドロシー・パーカーの名言であり、今作の最初に引用されています。そもそも、本の題名がこの名言から取ったものですね。
主人公コーデリアは正にこれを体現したような存在です。甘え上手でおそらく見た目も美しく、人の懐へ入っていくのに抵抗感がありません。男性?お食事をおごってくれる存在でしょ?くらいに思っていそう。読んでいる分にはおもしろいキャラクターですが、身近にいたら嫌かもしれません。
ナルシシズム
間違いなくコーデリアはナルシストです。幼い頃から、自分のために島全体が険悪なムードになった時には「私、トロイア戦争を引き起こしたヘレネーみたい!」と喜ぶ始末であり、堂々と「パパがこの世で一番愛してるのはママじゃなくて私」と考えています。幼いながら恐ろしい子……!
そんな傾国の美女感のあるコーデリアですが、死体、それも恐らく自分が殺した人物を前に冷静すぎるほど冷静に対処しています。かつ、載っているあらすじを読むと「そろそろ蝿もわいてきた」といったような一文もありました。彼女、サイコパスなんじゃないかと疑ってしまいます。倫理観のない美女もそれはそれで良いものですが、やはり現実では関わりたくありません。
著者について
ダブリン出身・在住。テレビ脚本などを書いていて、2014年に作家デビュー。2作目のLying in Waitが大ヒット、受賞しています。