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アイルランドの本(小説・児童書・YA)を紹介するブログです。

紹介:The Abandoned: a gripping crime thriller

本情報 

The Abandoned: a gripping crime thriller (English Edition)

The Abandoned: a gripping crime thriller (English Edition)

 

 ページ数:288

ジャンル:スリラー

文章:読みやすい

Kindleだと5章途中まで試し読みができます。

あらすじ

Peggy Bowden(ペギー・ボーデン)は苦難の人生を歩んできた。母の厳しい躾、望まない相手との結婚…。夫が亡くなってやっとペギーの人生は始まった。

1950年代のアイルランドは女性ひとりで生きていくのが厳しい時代。しかしペギーは産院を経営し成功させる。ある時、ペギーは出産のコントロールが出来たら女性にとって利益になるのではないかと考えてしまう。それは許されない行いだった。

試し読みしての感想

ちょっと性的なシーン有

試し読みの範囲でペギーがある男性と事に及ぶシーンが出てきます。心がぴゅあな私はドキマギしてしまうレベルでした。

そもそも物語開始時点のペギーは産院ではなく売春宿を経営しているように見えます…私が誤読していなければ。

1950年代のダブリンにおける女性

1950年代のアイルランドは共和国化したり英国連邦を脱退したりと忙しい時期です。女性は男性に物のように扱われるなど、今と比べて女性がかなり生きづらい時代だったようです。そのころの日本は高度経済成長期、キャリアウーマンが生まれつつあったものの、「女性は家庭に入るもの」の価値観が強かったのと似たような感じです。

おそらくペギーは物語の中で中絶に手を染めていくのではないのかなと思いますが、アイルランドでは憲法修正8条で「胎児の権利を保障する」と1983年から決められていました。折しも、現在アイルランドでは上記条項を削除しようとする動きが政府から出ているそうです。(たぶん)そうした意味ではタイムリーな小説であると言えるのかもしれません。

著者について

アイルランドのドニゴール州在住。

犯罪小説作家であり、今作品がデビュー作(ぽい)です。