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紹介:The Bespoke Hitman

本情報 

The Bespoke Hitman (English Edition)

The Bespoke Hitman (English Edition)

 

ジャンル:犯罪、ミステリー

ページ数:320

あらすじ

ハロウィンの夜、ベルファスト。3人の男が狼の仮装をして、今まさに銀行強盗に入らんとしていた。しかしそれは思わぬ危険を呼ぶことになる。

試し読みしての感想

プロローグと1章の温度差がすごい。

プロローグでは、ある少年が両親を殺すシーンが描かれます。書き出しからしホメロスの『イリアス』が引用されていたり、情景描写に悪魔とか神とか用いてきたりと、かなり格調高い文章の印象を受けました。

それに続く1章は場面変わって銀行強盗に入ろうとしている3人組の様子が描かれます。3人は緊張からか冗談を飛ばし合います。これがコミカルでおもしろい。主に映画ネタで盛り上がっています。私は半分程度しかわからなかったのですが、詳しい人ならもっと楽しいのかもしれません。地の文自体も、プロローグと比べて大分平易になっています。これを意図的に書き分けているのだとしたら作者すごい。

話の内容に触れると、この3人、ポンコツ臭が半端ないです。2人がおちゃらけて1人が冷静という構図はよく見るものの、結局3人とも銀行強盗でまごついてオロオロしています。そこらへんにいた客に言い負かされてますし。

著者について

Sam Millar

ベルファスト出身。犯罪小説を中心に執筆しています。他に舞台の脚本も手掛けているそうです。