紹介:The Ruin(Cormac Reilly #1)
本情報
ジャンル:ミステリー
ページ:400
*Kindleだと2章まで試し読みができます。
あらすじ
Cormac Reilly(コーマック・レイリー)がある女性を訪ねていくと、既に彼女は死に、家には2人の子どもが残されていた。その内の1人、Jack(ジャック)が体に傷を負っていたため、2人を病院に連れていく。しかし診察の最中にジャックの姉Maude(モード)は行方をくらましてしまった。
それから20年。ジャックが水死体となって発見された。警察は自殺と断定、探偵であるコーマックが再調査を依頼される。調査を進めるうちに、モードが犯人ではないかとの疑いが強まっていく。
試し読みしての感想
映画のような語り出し
しょっちゅう上記の表現を用いている気がするのですが、今回も映画のような語り出しでした。コーマックが車で、ある女性宅へ向かうシーンから始まります。映画だったら絶対にコーマックの車をカメラで追いつつ、クレジットとタイトルが出てきてました。
ミステリー物は衝撃的なシーンから始まるか、今作のようにじわじわ静かに物語が開始していくかのどっちかに分かれそうですね。
コーマックの人柄
なかなかの好人物です。冷静な観察眼を持ちつつ、子どもに対して言い負かされるなどお人よしな部分もあります。タイトルにCormac Reilly #1とついているのだけあって、コーマックが主人公のシリーズ物のようです。
Ruin
プロローグの前に、作者からの但し書きで本の題名“Ruin”はダブルミーニングだと説明があります。アイルランド語のことわざに“Ní scéal rúin é más fios do thiúr é.”というのがあり、英訳すると“It's not a secret if a third person knows about it.”。
ここでのRúinはScéalと結びつくことで「隠されたもの」の意味になりますが、単体だと「愛」も表すそうです。
一方で英語のRuinはご存じ「荒廃」の意味になります。
こういうダブルミーニングすごく好きです。一見かけ離れた意味に見える英語とアイルランド語のRuinにどんな意図が込められているのか考えて読むのも楽しそう。
著者について
コーク州生まれ、オーストラリア在住。法律を学ぶ。
今作がデビュー作。