6&4

アイルランドの本(小説・児童書・YA)を紹介するブログです。

紹介:The Trick to Time

本情報

ジャンル:歴史、人生

ページ:272

Kindleだと2章まで試し読みができます。

あらすじ

Mona(モナ)は人形造形師として、海沿いの街で人形店を営んでいた。

どれもが自分のかわいい人形たちだ。それぞれ名前をつけていたし、それぞれに隠された意味があった。それは全部、モナの過去に関することだ。まだ少女だった頃の自分、愛する人と会った時の自分、そして望まない妊娠。60歳近くになったモナに、人形たちは昔を思い出させてくれる。

試し読みしての感想

穏やかな語り口

モナの年齢のせいか、それとも性格のせいか、静かに物語は始まっていきます。海沿いの街の雰囲気も相まってとても美しい印象の文体でした。

会話のシーンでモナは親しみの込めた呼びかけや話し方をします。かわいいおばあちゃんという感じ。優しい性格なのでしょうね。

ただ、彼女は過去のせいなのかどこか引っ込み思案で、自信がなさそうに見えます。そうした意味ではものすごく共感性の高く親しみやすいキャラクターでした。あまり身構えずにモナと相対することができると言えばわかりやすいでしょうか。

なぜモナがそのような性格になったのか、どんな人生を経てこの街に辿り着いたのか、それを紐解いていくお話になりそうです。60歳のモナを起点として、過去の出来事へ戻って行くスタイルですね。

著者について

Kit de Waal

アイルランド人の母とカリブ族の父の間に生まれる。バーミンガムアイルランド人コミュニティの中で育つ。

デビュー作“My Name is Leon”は世界的ベストセラーとなり、コスタ賞の処女小説部門のショートリストやThe Desmond Elliott Prizeのロングリスト入りを果たし、2017年のThe Kerry Group Irish Novel of the Year Awardを受賞。