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アイルランドの本(小説・児童書・YA)を紹介するブログです。

紹介:When She was Gone

本情報 

When She Was Gone (English Edition)

When She Was Gone (English Edition)

 

ジャンル:ミステリー

ページ数:384

文章:読みやすい

Kindleだと1部3章まで試し読みができます。 

あらすじ

1999年、男は監禁されていた。名前があったはずだが、思い出せない。どこにいるかもわからない。

2016年、David Dunnigan(ディビッド・ダニガン)は姪Beth(べス)を18年前に自分の不注意で行方不明としてしまった罪悪感からふさぎ込んでいたものの、恋人のような関係でセラピストのDiane Robinson(ダイアン・ロビンソン)と過ごし回復傾向にあった。その日も2人で遅い朝食をとっていたところに、12時15分、訪問者がやってきた。

同日同時刻、神父Bill Creedon(ビル・クリードン)のもとにも見知らぬ訪問者がやってきていた。

試し読みしての感想

わくわくする読み出し

「自分に名前があったのは知っている。」で始まる書き出し。まるで『吾輩は猫である』を彷彿とさせる冒頭にわくわくが隠せませんでした。

それからも男がどこで、なぜ、自分が閉じ込められているかわからないまま話が進んでいきます。そこに現れた5歳くらいの女の子…と、まるでファンタジー小説を読んでいるかのような展開でした。

一転、謎の男のプロローグが終わると舞台はダブリンへ移ります。そこで18年前に姪を行方不明にした責任感からふさぎ込む男ディビッドが登場。彼はホームレスを手助けする団体でクリードン神父やダイアンに出会います。彼らを中心に物語は進行していくようです。

ホームレスといえば、アイルランドは昨今、家賃高騰が激しくホームレスの増加が社会問題となっています。

目次がおしゃれ

プロローグ+9部構成、サブタイトルがすごーくおしゃれです。

プロローグ:The Prisoner(囚われ者)

1部:Day of the Long Knives(長いナイフの日)

2部:The Beautiful Science(美しき科学)

3部:Far Beyond These Castle Walls(城壁の遥か彼方)

4部:Interlude(幕間)

5部:In My Time of Darkness(闇めいて)

6部:Second Interlude(幕間2)

7部:Ice Town(氷の街)

8部:The Walker in the Snow(雪の徒人)

9部:Finding Your Tribe(一族を探せ)

1部のサブタイはナチスが行った粛清事件「長いナイフの夜」のもじりですし、3部は歌手クリス・デ・バーのアルバム名ままです。作中にはクリス・デ・バーが好きなキャラも出てきます。5部は黒人霊歌In My time of Dying(たぶん)。

と、このようにおしゃれかつ知的な感じのサブタイがつけられています。私が寡聞にして知らないだけで他のタイトルも何か元ネタがあるのかもしれません。

著者について

今作が2作目です。1作目はAfter She Vanished。彼女いなくなりがち~。