6&4

アイルランドの本(小説・児童書・YA)と気になったニュースを紹介するブログです。

レビュー:Ireland's Pirate Trail

本情報・あらすじ 

Ireland's Pirate Trail: A Quest to Uncover Our Swashbuckling Past

Ireland's Pirate Trail: A Quest to Uncover Our Swashbuckling Past

 

ジャンル:歴史、海賊、ノン?フィクション

あらすじ:かつてヨーロッパやカリブ海で暴れ回った海賊たち。アイルランドに有名な海賊はほとんどいないと言われてきたが、本当にそうなのだろうか? 疑問に思った作者がダブリンから時計回りにアイルランド島の海岸を巡り、その土地土地に伝わる海賊の物語を紐解いていく。

登場する海賊

13世紀

William Marsh

14世紀

Black Tom

16世紀

William Grant

Grace O'Malley(グレース・オマリー)

17世紀

George Cusack

William Lamport

Humphrey Jobson

William Hull

John Nutt

Eoghan Massey(Ouzel Galley船のキャプテン)

18世紀

Peter McKinley

George Gidley

Edward Macatter・Patrick Dowlin・Luke Ryan

Anne Bonny(アン・ボニー)

Jack Rackham(ジャック・ラカム)

Mary Read(メアリ・リード)

Peter Roach

Philip Roche

John Paul Jones

Robert McClelland

John Brown

Patrick Dowlin

その他

O'Driscolls family

Olaf(ラックサー谷の人びとのサガより)

感想

ロマンあふれる海賊の話

上記の通り、大量に海賊の話が載っている本です。もしかしたら上記リストにも漏れがあるかもしれないというくらいいっぱい出てきます。加えて海賊を捕まえる側の海軍にも有名な人がいてちらほら出てくるのでもう何がなにやら。ちなみにこれでも作者の方で登場させる海賊を絞ったそうで、機会があれば記述できなかった海賊についてパート2を出したいなあと後書きにありました。

時代の差はあれ、出てくる海賊は傍若無人乱暴狼藉。誘拐に始まり殺人までそれはもうやりたい放題です。一応アメリカ側やイギリス側について政府公認のもと戦った人たちもいるのですが、それでも海賊は海賊です。彼らは自由で、自分たちの人生を軽んじながらも楽しく生きていきます。そんな刹那的な生き方を、魅力に感じてしまうのでしょうか。

個人的にはグレース・オマリーとアン・ボニー周辺、Edward Macatterら三銃士、13世紀のサガよりOlafの話が面白かったです。特にOlafはロマン感じます。

アイルランドが生んだ偉大な海賊

アイルランド出身の海賊と言えば、アン・ボニーそしてグレース・オマリーでしょう。

圧倒的な知名度を誇る2人に割かれたページも当然多いです。グレース・オマリーの記述が恐らく一番詳しいですね。そして章の配置もちょうど本の真ん中あたり。海賊の話はおもしろいけど、ちょっと知らない人ばかりでまごまごしてきたな……というところでグレース・オマリー。テンションだだ上がりですよ。

グレース・オマリーの生い立ちはもちろん、俗説まで取り上げてその信憑性を作者が判断するところまで詳しく書かれています。ただ、美人とされているけど実はブスとか……そういうのは書かないで欲しかった……。知らない方が幸せなこともあります。

作者の文章について

ちょっと特徴的な文章の書き方でした。まず一通り結論までざっくり語ってから、詳しい内容に入っていくという。論文風と言いますか。

モンキー・D・ルフィイーストブルーから出発し、グランドラインを経て海賊王になった。生まれはイーストブルーのフーシャ村で……」とか、そんな感じです。

文章自体は友だちに話を語って聞かせてくれているような、フレンドリーさがあって楽しく読めます。

旅行記っぽさはあまりありませんでした。各章の始まりには手書きっぽい地図があり、どこの土地に伝わる話かを明示してくれてはいます。たまに「ここで寄り道してコーヒー飲んだよ」と言った文章が出てくるものの、基本的には1章に1人(1族)スポットをあてていく、採話のような本になっています。

著者について

ジャーナリスト。著作は2018年7月現在で4冊。結婚し息子が1人と娘が2人いる。

北アイルランドで生まれ、リポーターとして活躍。新聞紙の編集を務めた後でダブリンへ移住。ジャーナリスト、コラムニスト、編集者として活動、2012年まではThe Sunday Worldの政治部門で特派員を務めていた。

2006年の著作The Stolen VillageはArgosy Irish Nonfiction Book of the Year、Book of the Decade in the Bord Gais Energy Irish Book Awardsのショートリストに入っている。