BOOKSELLING IRELAND NON-FICTION BOOK OF THE YEAR 2019ショートリスト
An Post Irish Book Awardsの1部門であるBOOKSELLING IRELAND NON-FICTION BOOK OF THE YEAR 。
名前の通り、ノンフィクションの本が選出される。
An Post Irish Book Awardsについては↓
受賞作品
CONSTELLATIONS(by SINÉAD GLEESON)
Constellations: Reflections From Life (English Edition)
- 作者:Sinéad Gleeson
- 出版社/メーカー: Picador
- 発売日: 2019/04/04
- メディア: Kindle版
ジャンル:自伝
ページ:304
あらすじ:著者の自伝的エッセイ。体に金属を埋め込まなければならなくなった彼女がどう生きてきたのか。母であること、アイルランドに生きる女性であることを体にフォーカスして描く。
著者:ライター、編集者。急性前骨髄球性白血病にかかり、股関節を金属に置き換えている。今作が初出版。
医学に詳しくないので、金属になっているのは股関節ではないかもしれない。英語表記だとHip replacement。文章は読みやすい。タイトルごとに長さまちまちの文章が並べてる。寝る前や通勤通学のスキマ時間にさらっと読める感じだろうか。
ノミネート作品
THE EDUCATION OF AN IDEALIST(by SAMANTHA POWER)
The Education of an Idealist: THE INTERNATIONAL BESTSELLER (English Edition)
- 作者:Samantha Power
- 出版社/メーカー: William Collins
- 発売日: 2019/09/10
- メディア: Kindle版
ジャンル:自伝
ページ:592
あらすじ:ピュリッツァー賞をとったサマンサ・パワーの自伝。アイルランドに生まれ、アメリカへ移住した幼少期からアメリカ国連大使になるまでを成功・失敗ともに赤裸々に描く。
著者:ジャーナリスト。オバマ政権下で大統領上級顧問や国際連合大使を務めていた。「集団人間破壊の時代」でピュリッツァー賞を受賞。
600ページ近い超ボリューム。それだけに内容も多岐にわたっている。彼女の人生から思想まで事細かに書いてあるそうだ。
ピュリッツァー賞をとった「集団人間破壊の時代」は邦訳が出ている。
THE BORDER: THE LEGACY OF A CENTURY OF ANGLO-IRISH POLITICS(by DIARMAID FERRITER)
The Border: The Legacy of a Century of Anglo-Irish Politics (English Edition)
- 作者:Diarmaid Ferriter
- 出版社/メーカー: Profile Books
- 発売日: 2019/02/07
- メディア: Kindle版
ジャンル:歴史
ページ:184
あらすじ:20年前まで、アイルランドと北アイルランドの間には明確な国境があった。グッドフライデー合意の後、そのボーダーはほぼ消えさったはずだった。Brexitが決まるまでは。過去1世紀の歴史をたどり、現代にまで続くイギリスとアイルランドの政治問題を明らかにしたノンフィクション。
著者:歴史学者。アイルランドの歴史に関する本を多数著している。
なんともタイムリーな本になってしまった。内容はページ数に対して非常に深く難しい。アイルランドの歴史は知っているのを当然として、さらに深堀りしていく内容となっている。
REPUBLIC OF SHAME(by CAELAINN HOGAN)
Republic of Shame: Stories from Ireland's Institutions for 'Fallen Women' (English Edition)
- 作者:Caelainn Hogan
- 出版社/メーカー: Penguin
- 発売日: 2019/09/12
- メディア: Kindle版
ジャンル:歴史、カトリック、女性
ページ:256
あらすじ:アイルランドには、かつて「不適切な女性」の烙印を押された女性がいた。彼女らはランドリーで強制的に労働させられ、「不適切に」出産した女性とその子どもは離れ離れにされていた。アイルランドのカトリック教会の所業を冷静な視点から描く。
著者:ジャーナリスト。中東やアフリカ、ヨーロッパで取材活動を行う。今作が初出版作品。
著者は1988年生まれ、若いが素晴らしいジャーナリストだ、とレビューにあった。今作は単なる取材レポートというより、自身の経験談から始まっている。この題材に興味をもったきっかけ、昔であれば自分は生まれた時「不適切」として処理されていたであろうことや父母のなれそめなど。知らず知らず著者の話に引き込まれてしまう。
カトリック教会でのランドリーについて描いた作品なら他に読んだことがある。
これは今年読んだ中で1番面白い小説だった。
HEROIC FAILURE(by FINTAN O’TOOLE)
Heroic Failure: Brexit and the Politics of Pain (English Edition)
- 作者:Fintan O'Toole
- 出版社/メーカー: Apollo
- 発売日: 2018/11/22
- メディア: Kindle版
ジャンル:政治、歴史
ページ:240
あらすじ:「なぜ英国は離脱を選んだのか」に迫る。かつて大帝国を築いた英国がどのように変化していったのか。そして、Brexitによってツケを払うことになるのは誰なのか。
著者:コラムニスト、ジャーナリスト。The Irish Timesなどで連載を持つ。
著者はアイルランド出身なので立ち位置としては「Brexitの当事者ではないが、それによって影響を受ける」立場になる。内容はやや難しいかもしれない。
ELSEWHERE(by ROSITA BOLAND)
Elsewhere: One Woman, One Rucksack, One Lifetime of Travel (English Edition)
- 作者:Rosita Boland
- 出版社/メーカー: Transworld Digital
- 発売日: 2019/05/30
- メディア: Kindle版
ジャンル:旅行
ページ:288
あらすじ:若い頃オーストラリアに旅行してから、すっかり旅に魅了されてしまった著者。9つの国を旅した記録。
著者:ジャーナリスト。2018年には NewsBrands Ireland Journalist of the Yearに選出されている。
1988年から2016年までの記録を書いたもの。前書きにあった辞書を読みとおしたエピソードが理解できすぎて好感度上がる。日本編もあり、金継ぎにまつわる話のようだ。
ノンフィクションはBrexitや、その影響を受けるアイルランドのこれからについてフォーカスした本が多く選ばれていた印象。時代柄しょうがない気もする。