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アイルランドの本(小説・児童書・YA)を紹介するブログです。

RTÉ RADIO 1 LISTENERS’ CHOICE AWARD 2019ショートリスト

ラジオのリスナーが選ぶ部門。

最も読者の声が反映されている部門のように感じる。ジャンル問わず人気作が選ばれているのが特徴。

An Post Irish Bool Awardsについては↓

rokuyon64.hatenablog.com

受賞作品

OVERCOMING(by VICKY PHELAN with NAOMI LINEHAN) 

Overcoming: A Memoir (English Edition)

Overcoming: A Memoir (English Edition)

 

 ジャンル:自伝、心理

ページ:368

あらすじ:1人の女性が大きな山を動かした記録。命の危険にさらされた事故、母になり、うつ病になったこと。そしてHSE(Health Service Executive)による子宮がん見過ごし事件。事件の詳細を明らかにするため、彼女は戦った。

著者:(Vicky Phelan)2人の子を持つ母。子宮がんに関して今も活動を続けている。

(Naomi Linehan)ジャーナリスト。今回が2作目。

ノンフィクション部門でもノミネートされていた。かつ、An Post Irish Bool Awardsは受賞作が出そろった後そこからさらに今年の1冊を選ぶのだが、2019年の本はこちらが選ばれている。

ノミネート作品

ONCE, TWICE, THREE TIMES AN AISLING(by EMER MCLYSAGHT & SARAH BREEN) 

 ジャンル:ラブコメ

ページ:416

あらすじ:Aislingは30才に。大人になるということ、結婚、これからの人生。色々な悩みやトラブルと奮闘しつつ、ドタバタしながら彼女は自分の人生を懸命に過ごしていく。Aislingシリーズ3作目。

著者:2人組。共にジャーナリスト。

Popular部門で受賞している。サクッと読めて後味の良い人気シリーズ。

SHADOWPLAY(by JOSEPH O'CONNOR) 

Shadowplay (English Edition)

Shadowplay (English Edition)

 

ジャンル:歴史フィクション

ページ:310

あらすじ:小説『ドラキュラ』の著者ブラム・ストーカー、ハムレット役を演じ有名になった俳優ヘンリー・アーヴィング、その相手役を務め自らも有名になったエレン・テリー。3人の関係を描く。

著者:ダブリン生まれ。フィクションからノンフィクションまで幅広く書き、2012年にIrish PEN賞を受ける。映画化作品もいくつかある、アイルランドを代表するベテラン作家。

こちらはEASON NOVEL OF THE YEARの受賞作品。こうして見るとこの賞は各部門の選りすぐりがノミネートしているなあ。

GIRL(by EDNA O'BRIEN) 

Girl: A Novel (English Edition)

Girl: A Novel (English Edition)

 

 ジャンル:ナイジェリア、誘拐

ページ:240

あらすじ:「かつて私は少女だった」ナイジェリア北東部で過激派組織ボコ・ハラムに誘拐された少女は、そこで妊娠させられてしまう。暴力で支配されたその組織から逃げ出すが、彼女を待っていたのは辛い現実だった。

著者:クレア出身。女性を主人公にした話を多く書いている。2019年のDublin One City One Book(毎年4月に皆で1冊の本を読もうというイベント)で「カントリー・ガール」が選ばれた。「カントリー・ガール」含め邦訳も多数。

こちらもEASON NOVEL OF THE YEARノミネート作品。事実を基にしたフィクションであり、非常に胸が抉られるような内容。

NIGHT BOAT TO TANGIER(by KEVIN BARRY) 

Night Boat to Tangier (English Edition)

Night Boat to Tangier (English Edition)

 

 ジャンル:会話劇

ページ:224

あらすじ:MauriceとCharlieはスペインのアルヘシラス港の暗い待合室にいた。壮年にさしかかった2人が待っているのはMauriceの娘だ。1晩の間、彼らは今まで付き合ってきた25年間を振り返る。

著者:リムリック出身。これまでに長編1つと短編集2つを出版している。今作はブッカー賞のロングリスト入りを果たしている。本としての邦訳はなく、雑誌MONKEYのVol.18で柴田元幸さんが短編を訳されている。

三度、EASON NOVEL OF THE YEARノミネート作品。小説というより劇のような本である。