BORD GÁIS ENERGY SPORTS BOOK OF THE YEAR2019ショートリスト
An Post Irish Bool Awardsでスポーツ関連の本に贈られる賞。
今年はスポーツそのものというより、引退後の選手本人の生活に焦点を当てたものが多いだろうか。
An Post Irish Bool Awardsについては↓
受賞作品
RECOVERING(by RICHIE SADLIER with DION FANNING)
ジャンル:サッカー、人生、復活
ページ:304
あらすじ:24歳でサッカー選手を引退したSadlierには、何もなくなってしまった。酒におぼれ、暗い記憶にさまよう日々。しかしある時、彼は自身の中の悪魔を克服し、人生を生き直すことを決意する。
著者:元サッカー選手。怪我のため24歳で引退、その後はコラムを書いたりメディアに出演したりと活躍中。
軽い語り口で書かれていて読みやすい。スポーツというより、引退後の生活に焦点を当てた感じだろうか。「回復したよ!」との書き出しなので安心して読み進められるのも良い。
ノミネート作品
THE DUBLIN MARATHON (by SEAN MCGOLDRICK)
The Dublin Marathon: Celebrating 40 Years
- 作者:Sean Mcgoldrick
- 出版社/メーカー: O'Brien Pr
- 発売日: 2019/12/14
- メディア: ハードカバー
ジャンル:マラソン、歴史
ページ:208
あらすじ:1980年から始まった、ダブリン市内をコースとするダブリンマラソン。10月最後の週末(Marathon Weekend)に行われ、その日は街中がランナーのサポーターと化す。40周年を記念してこれまでのダブリンマラソンのコースや歴史、小話などをまとめた。
著者:the Sunday Worldのスポーツジャーナリスト。
ダブリンマラソンはヨーロッパで5番目に大きいマラソン大会(らしい)。2100人の参加だった1980年から、2019年はなんと約22,500人。10倍である。40年の歴史を写真と共に振り返っている。
CAMOUFLAGE(by EOIN LARKIN with PAT NOLAN)
Eoin Larkin : Camouflage: My Story (English Edition)
- 作者:Eoin Larkin
- 出版社/メーカー: Reach Sport
- 発売日: 2019/10/18
- メディア: Kindle版
ジャンル:ハーリング、自伝
ページ:304
あらすじ:Eoin Larkinはハーリング界のヒーローである。スタメンとして所属チームを8回もAll-Ireland優勝に導いたEoin。しかし彼は人知れずうつ病に苦しんでいた。今まで語ろうとしなかったうつ病含め人生を振り返った自伝。
著者:ハーリング選手。所属チームを優勝に導いている他、個人でも賞を多数獲っている。
ハーリングファン必読との触れ込みだった。選手視点から試合を振り返るのはもちろんだが、うつ病について語っているのも興味深い。
SOMETHING IN THE WATER(by KIERAN MCCARTHY)
Something In The Water:: How Skibbereen Rowing Club Conquered the World (English Edition)
- 作者:Kieran McCarthy
- 出版社/メーカー: Mercier Press
- 発売日: 2019/10/18
- メディア: Kindle版
ジャンル:ボート、クラブ
ページ:288
あらすじ:Skibbereen Rowing Clubはその規模の割にボート競技で多くの世界チャンピオンを生み出しているクラブである。クラブでは一体どのようなことが行われていたのか、選手ではなく舞台裏で働く人々に焦点を当てた。
著者:ベテランのスポーツ記事編集者。今作がデビュー作。
選手自身よりも、選手の環境を整え、影で支えた人々をメインとした本になっている。確かに選手の努力や才能はもちろん、競技に集中する環境や相性の良いコーチに巡り会うことは勝つために重要な要因になるのだろう。そうした環境を個人依存でなくクラブで持っているというのは強いかもしれない。
ALL IN (by JAMIE HEASLIP with MATT COOPER)
ジャンル:ラグビー、自伝
ページ:304
あらすじ:アイルランドにおけるナンバー8の代名詞的存在であり、ラグビー界を牽引してきた著者が語る現役時代の話。
著者:レンスターとアイルランド代表としてプレイした元ラグビー選手。フォワードのリーダーポジション・ナンバーエイトとして活躍した。2018年に怪我のため引退。
Wikipediaに乗っている本人の写真を見てその体格にビックリした。ムッキムキ。
プロローグのタイトルが"The beginning of the end"というところからして格好良い。そしてタイトルの通り、著者が選手生命を断たれた怪我をするシーンから語りは始まっている。何とも切ない雰囲気である。
ABOUT THAT GOAL(by SEAMUS DARBY with PJ CUNNINGHAM)
About That Goal: The Official Biography of Seamus Darby (English Edition)
- 作者:Pj Cunningham
- 出版社/メーカー: Ballpoint Press Ltd.
- 発売日: 2019/08/29
- メディア: Kindle版
ジャンル:ゲーリックフットボール、自伝
ページ:281
あらすじ:1982年、オールアイルランド決勝で劇的なゴールを決めたSeamus Darbyが人生を振り返る。ゴールの瞬間から引退後のあれこれまで赤裸々に語った。
著者:元ゲーリックフットボール選手。1982年のゴールはゲーリックフットボール史の中でも最も有名。
ゲーリックフットボールは、ある一定の条件でなら手も使って良いサッカーのようなもの。アイルランド発祥で国技にもなっているが、プロリーグは存在しない。
プロローグの前に共同執筆者であるPJ Cunningham氏の前書きがあり、Seamus Darby氏の人となりと彼に対する情熱が語られている。こういうの何だか良いなあ。