12月試し読みしたものまとめ
The Cruelty Men
The Cruelty Men (English Edition)
- 作者: Emer Martin
- 出版社/メーカー: The Lilliput Press
- 発売日: 2018/06/14
- メディア: Kindle版
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ジャンル:歴史
ページ:448
あらすじ:Mary(メアリー)はケリーからミースのゲールタハト(アイルランド語が日常的に話されている地域)に引っ越してきた。家族は困窮していた。親に代わり弟たちの面倒を見なければならなくなったMary。そこには苦難が多く待ち受けていた。1930年代から1960年代までを描いた話。
レビューではケルト神話を絡めた歴史フィクション、と書いてありました。Maryの話が始まる前も1653年のパートがあり、そこではクロムウェルによって侵攻され、森に逃れた人物の一人称がありました。それまでアイルランドに住んでいた人々が西に追いやられていく様子が生々しく描かれています。反面、森で暮らすその人は「地下の国」(=神々・妖精の暮らす国)を探しているなど、神話と歴史の融合のような物語になっていました。他、レビューでは詩的な表現を高く評価されていたのが印象的でした。
この1653年パートがとても好きです。章の終わりに、主人公はアイルランドの敗北を感じながらも(この時に「ハープは全て燃やされるだろう」という表現をするのも良い)“The stories were an unconquered place.”と断言します。これこそが小説の存在意義かもしれないと思うくらい、強い言葉でした。
The Blamed
ジャンル:家族、ミステリー
ページ:352
あらすじ:今までで最高の夏だった。恋に落ち、自分自身をよく理解し、最も充実した夏だった。でも、それは間違いだった。15年後、Anna(アンナ)は反抗期の娘Jessie(ジェシー)に手を焼いていた。さらに娘から自分の名前の由来を尋ねられ、15年前の秘密が明らかになっていく。
主人公Annaには2人子どもがいます。長女Jessieと長男Rudi。話はJessieとAnnaの関係を中心に進んでいくようです。
Jessieの名前は死んだ友人と同じものをつけたとAnnaがさっさと明かします。その理由が、死んでもずっと一緒にいられるような気持ちになれるから、とありました。なかなかのサイコパスっぷりじゃないですか。でも欧米ではよく死んだおじいちゃんの名前をもらっている人を見ますし、この文化圏では普通のことなのかもしれません。
他、Annaは夫の名前が嫌いで"you"とか"him"としか呼ばなくなった、娘も主人公をママではなく名前で呼ぶなど、名前と呼び名が物語上のカギになりそうな描写具合でした。
The Month of Borrowed Dreams
The Month of Borrowed Dreams (English Edition)
- 作者: Felicity Hayes-McCoy
- 出版社/メーカー: Hachette Books Ireland
- 発売日: 2018/06/07
- メディア: Kindle版
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ジャンル:人生、本、シリーズ物
ページ:368
アイルランド西海岸の街Finfarran半島を舞台にした群像劇。夏を前に、ブッククラブの面々はそれぞれ人生の難しい選択を迫られていく。
本編が始まる前に、「このFinfarranは作者の頭の中に存在する街だから観光に来ても見つからないよ」と注意書きしてあるのが面白かったです。裏を返せば、それだけリアリティのある描写なのでしょう。ちなみにFinfarranを舞台にしたシリーズ物です。
ブッククラブなだけに本の話題はもちろん、映画についての言及が多く、おしゃれでサクッと読める感じ。