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アイルランドの本(小説・児童書・YA)を紹介するブログです。

紹介:Our Secrets and Lies

本情報 

Our Secrets and Lies

Our Secrets and Lies

 

ジャンル:家族、母子

ページ:448

Kindleだと3章まで試し読みができます。

あらすじ

1999年。Lucy(ルーシー)は21歳の時、恋人の子を妊娠をしてしまう。恋人のTom(トム)に恐る恐る打ち明け、2人は英国・リバプールに行って中絶手術をする……はずだった。

2016年。双子の母親となったルーシーは、自分の将来と引き換えに生んだ子どもたちが幸せになれるよう人生を捧げていた。子どもたちはそれぞれ夢を抱いていたが、それが思わぬ真実を明らかにする。

試し読みしての感想

2部仕立て

あらすじでも書いたように、前半は1999年、後半は2016年を舞台に展開していきます。1999年はルーシー21歳。2016年ではルーシーの子どもが17歳になっています。

試し読みできる範囲ではルーシーもトムも中絶する気満々だったので、あらすじを読んで驚きました。出版社のあらすじではほぼルーシーの子どものことしか書いていなかったので、物語も子どもたち中心になりそうですね。

アイルランドで妊娠すること

偶然なのかどうなのか、最近読む小説ほとんどで妊娠する女性が出てきます。いつの時代もどこであっても、妊娠が良くも悪くも女性の人生を変えてしまうのは事実でしょう。さらに、アイルランドにあっては法律で中絶が禁止されているため、妊娠は今作のルーシーのように、将来全てを投げうたなければならない、ことを意味します。かといって全員が妊娠したら出産しているわけではなく、隣国英国へ行って中絶をしている方が多いようですね。

それでも中絶の為に外国へ行かなければいけないのは金銭的にも精神的にも負担となります。実際に今作では「もしダブリンで中絶が出来たなら、何事もなかったかのように毎日を続けられるし、トムにも内緒にできるのに」とルーシーの悔やむシーンが出てきます。

こうした問題が小説で描かれているのは大きな社会問題になっているからなのでしょうか。ちょうど今週の金曜日5月25日、アイルランドで中絶禁止法の改正案への投票が行われることになっています。

著者について

ダブリン生まれ、ダブリン育ち。母親も小説家だったようです。パリやロンドンで暮らし、働きながら小説を書いて、後小説家デビュー。

女性向けといいますか、家族を扱った小説が多いですね。表紙がかわいいです。

作者HP→http://www.sineadmoriarty.com/