6&4

アイルランドの本(小説・児童書・YA)と気になったニュースを紹介するブログです。

紹介:Summer at the Garden Café

本情報 

Summer at the Garden Cafe (English Edition)

Summer at the Garden Cafe (English Edition)

 

ジャンル:女性向け、母娘、友情

ページ:384

*Finfarranシリーズの2作目

あらすじ

アイルランドのLisbeg、Finfarran半島にあるGarden Caféを舞台に据えたシリーズ小説第2作目。HannaとJazzは母娘だが、故あって別れて暮らしていた。父母の離婚の真実が知りたいJazzと、Jazzを傷つけたくないHanna。それぞれ秘密を抱えていく中で、HannaはなんとかJazzの助けになりたいと思う。

試し読みしての感想

舞台は架空の街

街というか半島というか。Finfarran半島は架空の土地だそうです。Lisbegはゴールウェイに同名の地名がありますね。

ここでJazzはゲストハウス、Hannaは図書館で働くことになります。読めたのは少しだけですが、図書館の雰囲気がとてもいい感じでした。普通の街なのでしょうが、どことなく不思議な雰囲気のある場所です。あとは海辺の描写がいい。

Chick lit

若い女性向けの小説、という用語らしいです。初めて知りました。母娘の問題とか、友情とか、生き方とか、そういうものに焦点を当てた、かつ女性を主人公にした小説。そういう認識でいいのでしょうか。

著者について

Felicity Hayes-McCoy

架空の土地Finfarranを舞台にした小説シリーズを書く。この小説は2作目、現在4作まで出ているようです。

紹介:Titanic:True Stories of her Passengers, Crew and Legacy

本情報

Titanic: True Stories of her Passengers, Crew and Legacy

Titanic: True Stories of her Passengers, Crew and Legacy

 

ジャンル:ノンフィクション、歴史

ページ:240

あらすじ

世界で一番と言っていいくらい有名な船、タイタニック。この船がベルファストに帰ってこなくなるとは誰も思っていなかった。

タイタニックの内装や沈没当時に乗船していた人たちの話を章別に解説した本。

試し読みしての感想

タイタニック北アイルランドで建造

造船所のあったベルファストにはタイタニック博物館もあります。世界最大のドライ・ドッグがある街だそうです、ベルファスト

タイタニックには姉妹船が存在します。オリンピックとブリタニックという名前ですが、それもベルファストで建造されました。タイタニックは処女航海で沈没してしまったせいなのか写真があまりなく、この本ではオリンピックの写真が部分部分で代わりに使われています。

本の構成

まずタイタニックの構造などをざっくり解説、沈没までの流れを年表で明示してくれています。そこから1章、船員(船長)の話が始まり、次に乗客それぞれにスポットライトを当てた構成になっているようです。

映画の印象が強く、どこか物語のように受け取ってしまいがちなのですが、タイタニック号沈没は紛れもない史実であり、約1500人が無くなった大惨事なんですよね。読み出しだけでも、出発日の空気とか空とかを想像してしまって何だかやるせない気持ちになりました。

著者について

Nicola Pierce

1969年ダブリン生まれ。子ども向けをメインに活動されているようです。デビュー作もタイタニックのお話ですね。髪の色がすごいファンキーなピンクでした。

紹介:Cork Strolls

本情報 

Cork Strolls: Exploring Cork’s Architectural Treasures

Cork Strolls: Exploring Cork’s Architectural Treasures

 

ジャンル: 旅行ガイド

ページ:192

あらすじ

アイルランド第2の都市、コーク。ここは貿易で栄えてきた街であり、その豊かさは建築物の種類の多さにも反映されている。街を地区ごとに区切り、歩くのにかかる時間や見どころを精密なイラストと共に解説する旅行ガイド。

試し読みしての感想

Kindleよりはペーパーバック版

なぜかamazonではKindle版しか見つからなかったのですが、出来るならペーパーバックを買ったほうがいいと思います。絵もそちらの方が見やすいでしょうし、何より、旅行ガイドなだけあって、色付きの枠の中に簡単なコラムとかが書いてあるんですよね。Kindleだとせっかく整えられているであろう書式が若干崩れてしまっています。あとは単純に赤い背景に白い文字が…目に辛い…。

もちろんKindle版にもいい所はあります。例えば、Shandon地区の紹介ページであれば

1. St Mary and St Anne's Cathedral

2. St Anne's Shandon

と言った感じに目次立てしてあって、見たいところをクリック(タップ)すればその箇所に飛ぶようになっています。見たいところが決まっている分にはとても便利。

それでも実際旅をしながら読むならペーパーバックの方がいいと思います。あまりないとは思いますがiPhoneのひったくりとかたまにあるそうですし、街中で歩きスマホは危ないですし。

クイズ?付き

説明文の合間合間に、DID YOU KNOW?と称してミニ雑学が書いてあります。ジョナサン・スウィフトだったりヘンリー7世だったり、歴史に関連したことが多いでしょうか。

前に感想記事を書いた“Ireland's Pirate Trail”でも、コークは昔より港として海賊の栄えた街とされていました。歴史のある街なのですね。そして海賊というよりは、貿易で栄えた街としてこの本では書かれています。多角的にこうして知識が繋がっていくのは楽しいものです。

著者について

Gregory and Audrey Bracken

キルデア出身。苗字が同じなのでお察しですが兄妹です。(どっちが年上なのかわかりませんが表記上こう書いておきます)旅好きで、ダブリン、ロンドン、パリ、バンコク、香港などのガイドも書いているそう。Gregoryの方が建築を学んでいたというので、ガイドにある建築関係は彼が担当して書いているのでしょうね。

紹介:In Search of Us

本情報 

In Search of Us (English Edition)

In Search of Us (English Edition)

 

ジャンル:家族、ロマンス

ページ:368

Kindleで試し読みできます。

あらすじ

Ronnie(ロニー)とElizabeth(エリザベス)は双子の姉妹。

ロニーは宝石店で働きながら、理解のある彼Al(アル)と幸せに暮らしていた。子どもを望んでいたがなかなか恵まれずにいるのが悩み。

エリザベスはダブリンで企業を経営しながら、同じくらい仕事で成功しているNathan(ネイサン)と結婚していた。子どもを欲しいと思ったことはなかった。

かつては仲良しでそっくりとも言われていた姉妹だが、今ではほぼ不干渉になってしまった。そんな2人は、母の死をきっかけに、これまで見たこともなかった父のことを一緒に調べていく。

試し読みしての感想

対照的な双子

あらすじの書き方からしてそうですが、ロニーとエリザベスは双子ながら生き方が真逆です。小さい頃はそんなことなかったようですが。そしてロニーもエリザベスも、いつからか互いに関わるのを避けるようになってしまいました。こういうのは双子でなくても兄弟姉妹ならままあることではないでしょうか。大人になるって悲しいことです。

こういうところは、同じ双子でも“Letters to my Daughters”に出てきたジニーとローズとは違うのですね。彼女たちは真逆の性格、生活をしていたものの、互いに頼りにして連絡を取り合っていました。

ロニーとエリザベスは、母の死をきっかけに家族、そして自分に向き合っていきます。こういう時、双子の方が鏡のように自分の姿をよく見せてくれるのかもしれません。

優しい恋人

恐らくこの本って前述のLetters to my Daughtersと同じジャンルの本になると思うのですけど、こういった話に出てくる男性って本当に性格イケメンが多いですね。女性が理想とする男性像なのかしら。

ロニーの恋人アルもご多分に漏れずハンサムです。母の死、そして子どもに恵まれない自分を思って眠れずにいるロニーに「夜遅いからもう話は止めて寝よう。話し足りなかったら朝また話そう」とか、「自分はこうしたほうがいいと思うけど、ロニーが違う方を選んだらそれはそれ。ロニーがどっちを選んでも応援する」とか、言葉の節々に気遣いが見てとれます。こういう恋人がいるからロニーの精神も安定しているというのがよく納得できます。

著者について

Maria Duffy

ダブリン出身。現在は夫と4人の子どもと暮らしている。

銀行員として勤めた後、結婚して専業主婦に。作家となったのはさらにそれから後のことになる。

今作で7冊目。

紹介:Flying Tips for Flightless Birds

本情報 

Flying Tips for Flightless Birds

Flying Tips for Flightless Birds

 

ジャンル:YA、サーカス、LGBT

ページ:384

あらすじ

Finch(フィンチ)とBirdie(バーディ)は双子で、Franconiサーカスの人気空中ブランコ乗り。

しかしバーディが不幸な事故に遭い、ブランコに乗れなくなってしまう。フィンチが新たにペアを組むことになったのは、変な転校生Hector Hazzard(ヘクター・ハザード)だった。

サーカスの一員、そして学生としての二重生活で、フィンチとヘクターは絆を深め、色々な事を学んでいく。

試し読みしての感想

鳥のように華麗な双子と変人ヘクター

すごい洋画っぽい言い方しました。名前からして双子は鳥を連想させますし、サーカスの花形です。対してヘクターは大人しく、女子から話しかけられても受け答えが下手くそです。せっかくギリシア神話の英雄ヘクトールから来た名前を持っているのに。ちなみに、ヘクター本人は自分の名前を指して「マーベルのキャラクターみたいな名前」と言っています。

本来なら関わりのなさそうな組み合わせですが、そういった人たちが出会うからこそ物語が生まれるもの。フィンチたちの場合は学校が彼らを結び付けました。

若い文章

最近は海賊や料理の歴史本、政治家の話を読んでいたせいか、すごく文章が若く見えました。「それくらいググっておいてよ」なんて台詞がぽろぽろ出て来ます。それ以外も何か文章が輝いて見えるくらいキャッキャした文体でした。若さが眩しい。

他、この小説の特色として章の最初がバーディのブログ文章から始まっていることがありました。サーカス団員を増やす目的のブログで、それを読んだフィンチが色々反応しています。何かこう、現代っぽいというか年相応っぽい文章に、青春から遠く離れた私は胸をときめかせてしまいます。

それから学校生活の描写もリアリティがあって楽しく読めますね。新しいクラスメイトであるヘクターに、クラスの人気女子とその取り巻きたちが話しかける場面が出てくるのですが、ここでの返答次第では今後の学生生活が変わってくる…!みたいな、そんな平和な緊張感がありました。

著者について

1977年、北アイルランドベルファスト生まれ。YA作家。

今作がデビュー作。若い作家たちのための勉強会を開いていたりと意欲的な方です。

紹介:The Rockingham Shoot and Other Dramatic Writings

本情報

The Rockingham Shoot and Other Dramatic Writings (English Edition)

The Rockingham Shoot and Other Dramatic Writings (English Edition)

 

 ジャンル:脚本、ドラマ、短編集

ページ:352

あらすじ

アイルランドを代表する作家、John McGahern(ジョン・マクガハン)。彼が執筆したラジオやテレビのための脚本集。表題作“The Rockingham Shoot”は重い、暴力的な内容ながらも深みや力強さを感じさせるテレビドラマ脚本。

試し読みした感想

ジョン・マクガハン

1934年生まれ、2006年死去。日本語版ウィキに記事がありました。それによれば来日したことがあるのだとか。

邦訳は少し出ています。長編と短編のみで、残念ながら今作のような脚本は訳されていません。

青い夕闇

青い夕闇

 
男の事情女の事情

男の事情女の事情

 

上が長編、下が短編集です。全体通して暗く静かな、それでいて生命力?を感じさせる文章のように思います。

試し読みは解説で終わり

今作は読み出しが解説というか概説から始まります。これ、英語で書かれた本と日本語の本の大きな違いだと勝手に思っています。日本語だと訳者あとがきや解説は最後に来ますよね、英語だと訳者から一言や今回のような解説が巻頭に来ます。現在読んでいる、韓国語から英訳された“Human acts”もそうでした。日本でも解説を立ち読みしてから本を購入する人もいるらしいので、巻頭に持ってくるのはむしろ良いのかもしれません。

話が逸れましたが、試し読みではマクガハンの長編・短編・脚本全て関係なく触れながら解説や、その話が書かれた当時のことが説明されています。教科書や論文を読んでいる気持ちになりました……。注釈も数ページで30近くつくという丁寧さ。この解説だけでも読み込めばひとかどのマクガハンマニアを名乗れるのではないでしょうか。

著者について

John McGahern(ジョン・マクガハン)

20世紀後半のアイルランドを代表する作家。数々の賞を取り、ブッカー賞のショートリスト入りしたこともある。

邦訳されている作品は以下:

『青い夕闇』

『小道をぬけて』

『湖畔』

『男の事情女の事情』

『ポルノグラファー』

『女たちのなかで』

レビュー:Ireland's Pirate Trail

本情報・あらすじ 

Ireland's Pirate Trail: A Quest to Uncover Our Swashbuckling Past

Ireland's Pirate Trail: A Quest to Uncover Our Swashbuckling Past

 

ジャンル:歴史、海賊、ノン?フィクション

あらすじ:かつてヨーロッパやカリブ海で暴れ回った海賊たち。アイルランドに有名な海賊はほとんどいないと言われてきたが、本当にそうなのだろうか? 疑問に思った作者がダブリンから時計回りにアイルランド島の海岸を巡り、その土地土地に伝わる海賊の物語を紐解いていく。

登場する海賊

13世紀

William Marsh

14世紀

Black Tom

16世紀

William Grant

Grace O'Malley(グレース・オマリー)

17世紀

George Cusack

William Lamport

Humphrey Jobson

William Hull

John Nutt

Eoghan Massey(Ouzel Galley船のキャプテン)

18世紀

Peter McKinley

George Gidley

Edward Macatter・Patrick Dowlin・Luke Ryan

Anne Bonny(アン・ボニー)

Jack Rackham(ジャック・ラカム)

Mary Read(メアリ・リード)

Peter Roach

Philip Roche

John Paul Jones

Robert McClelland

John Brown

Patrick Dowlin

その他

O'Driscolls family

Olaf(ラックサー谷の人びとのサガより)

感想

ロマンあふれる海賊の話

上記の通り、大量に海賊の話が載っている本です。もしかしたら上記リストにも漏れがあるかもしれないというくらいいっぱい出てきます。加えて海賊を捕まえる側の海軍にも有名な人がいてちらほら出てくるのでもう何がなにやら。ちなみにこれでも作者の方で登場させる海賊を絞ったそうで、機会があれば記述できなかった海賊についてパート2を出したいなあと後書きにありました。

時代の差はあれ、出てくる海賊は傍若無人乱暴狼藉。誘拐に始まり殺人までそれはもうやりたい放題です。一応アメリカ側やイギリス側について政府公認のもと戦った人たちもいるのですが、それでも海賊は海賊です。彼らは自由で、自分たちの人生を軽んじながらも楽しく生きていきます。そんな刹那的な生き方を、魅力に感じてしまうのでしょうか。

個人的にはグレース・オマリーとアン・ボニー周辺、Edward Macatterら三銃士、13世紀のサガよりOlafの話が面白かったです。特にOlafはロマン感じます。

アイルランドが生んだ偉大な海賊

アイルランド出身の海賊と言えば、アン・ボニーそしてグレース・オマリーでしょう。

圧倒的な知名度を誇る2人に割かれたページも当然多いです。グレース・オマリーの記述が恐らく一番詳しいですね。そして章の配置もちょうど本の真ん中あたり。海賊の話はおもしろいけど、ちょっと知らない人ばかりでまごまごしてきたな……というところでグレース・オマリー。テンションだだ上がりですよ。

グレース・オマリーの生い立ちはもちろん、俗説まで取り上げてその信憑性を作者が判断するところまで詳しく書かれています。ただ、美人とされているけど実はブスとか……そういうのは書かないで欲しかった……。知らない方が幸せなこともあります。

作者の文章について

ちょっと特徴的な文章の書き方でした。まず一通り結論までざっくり語ってから、詳しい内容に入っていくという。論文風と言いますか。

モンキー・D・ルフィイーストブルーから出発し、グランドラインを経て海賊王になった。生まれはイーストブルーのフーシャ村で……」とか、そんな感じです。

文章自体は友だちに話を語って聞かせてくれているような、フレンドリーさがあって楽しく読めます。

旅行記っぽさはあまりありませんでした。各章の始まりには手書きっぽい地図があり、どこの土地に伝わる話かを明示してくれてはいます。たまに「ここで寄り道してコーヒー飲んだよ」と言った文章が出てくるものの、基本的には1章に1人(1族)スポットをあてていく、採話のような本になっています。

著者について

ジャーナリスト。著作は2018年7月現在で4冊。結婚し息子が1人と娘が2人いる。

北アイルランドで生まれ、リポーターとして活躍。新聞紙の編集を務めた後でダブリンへ移住。ジャーナリスト、コラムニスト、編集者として活動、2012年まではThe Sunday Worldの政治部門で特派員を務めていた。

2006年の著作The Stolen VillageはArgosy Irish Nonfiction Book of the Year、Book of the Decade in the Bord Gais Energy Irish Book Awardsのショートリストに入っている。