6&4

アイルランドの本(小説・児童書・YA)と気になったニュースを紹介するブログです。

7月試し読みまとめ

 Can I Say No?

Can I Say No?: One Woman's Battle with a Small Word (English Edition)

Can I Say No?: One Woman's Battle with a Small Word (English Edition)

 

ジャンル:ノンフィクション、ユーモア

ページ:320

あらすじ:小さな頃から、物事が断れない性格だった。仲間に入れてもらえなくなるのではないかとか、気分を害するのではないかとか考えてしまうのだ。そんな著者が"No"と言えるようになるまでの回顧録

Noと言えない日本人と、昔は言われたものだった。かくいう私も物事を断るのは大の苦手だし断られるのはもっと苦手だ。なのでこの著者の気持ちはよくわかる。が、そのことをこうやってユーモアたっぷりに描けるのはただただすごい。

Tomi 

Tomi: Tomi Reichental's Holocaust Story (English Edition)

Tomi: Tomi Reichental's Holocaust Story (English Edition)

 

ジャンル:歴史、戦争

ページ:176

あらすじ:「6歳の頃、未来に恐怖を覚えた」ホロコーストを生き延びた少年、Tomi。彼はどのようにしてあの地獄を生きたのか。

実話。本人はホロコースト生存者として有名な1人。アイルランドに暮らし、ホロコーストでの体験を学校などで語っていたそう。作者ももしかしてそうした話を聞いていた1人だったのかしらんと思うと、物語の存在意義が感じられる。

Live While You Can 

Live While You Can: A Memoir of Faith, Hope and the Power of Acceptance (English Edition)

Live While You Can: A Memoir of Faith, Hope and the Power of Acceptance (English Edition)

 

ジャンル:ノンフィクション、伝記

ページ:320

あらすじ:運動ニューロン病と診断された時、Tony神父はまだ53歳だった。だんだん動かなくなっていく体、近づいていく死への恐怖から、神父が神の愛に目覚めるまでを描いた伝記。

運動ニューロン病の代表的なものと言えばALSだろうか。人間ならだれでも死は避けられないが、思いがけない形でやってきた時に人はどうするのだろう。出来たら500年くらい生きたい。

And Life Lights Up 

And Life Lights Up: Moments that Matter (English Edition)

And Life Lights Up: Moments that Matter (English Edition)

 

ジャンル:伝記

ページ:208

あらすじ:著名な作家アリス・テイラーが日々の暮らしにおけるポジティブな過ごし方を綴った本。

日本でも未知谷から何冊か邦訳版が出ている作家、アリス・テイラー。田舎でのアイルランド暮らしを綴っている。日本語で彼女の本を読んだことがある。とても明るくチャーミングな文章を書く人だった。

6月試し読みまとめ2

The Positive Habit 

The Positive Habit: Six steps for transforming negative thoughts into positive emotions (English Edition)

The Positive Habit: Six steps for transforming negative thoughts into positive emotions (English Edition)

 

ジャンル:メンタルヘルス、ノンフィクション

ページ:288

あらすじ:ネガティブ思考から脱するための6つの方法。常に自分の感情をコントロールできればこれほど良いことはないが、中々難しいもの。ネガティブな思考からポジティブになるにはどうすればいいのか書いた本。

メンタル系の本ってどうしてこう、語り口が柔らかく感じるのだろう。読んでいるだけで自分の全てが肯定されている感……。

Dancing with the Tsars 

Dancing with the Tsars (English Edition)

Dancing with the Tsars (English Edition)

 

ジャンル:風刺、政治

ページ:368

あらすじ:妻は不倫したあげくに妊娠した。恐らく自分の子どもではない。他、フェミニズムにロシアにと風刺を詰め込んだシリーズ18作目。

なかなか衝撃的な始まり方。挿絵も多く読みやすい。言い方が悪いかもしれないが、通勤中など空いた時間に消費するのにいい本なんじゃないだろうか。

Last Ones Left Alive 

Last Ones Left Alive: The 'fiercely feminist, highly imaginative debut' - Observer (English Edition)

Last Ones Left Alive: The 'fiercely feminist, highly imaginative debut' - Observer (English Edition)

 

ジャンル:SF、ディストピア 

ページ:280

あらすじ:世界は荒涼し、野にはゾンビたちがはびこっている。そんな時代に生まれ育ったOrpenは、母亡き後、保護者のMaeveと共に徒歩で旅をしていた。しかしMaeveがゾンビに感染してしまう。感染者はすぐ殺すべきだが、OrpenはMaeveを救おうと奮闘する。

”The Earlie King & the Kid in Yellow”を読んだ時も思ったが、ディストピア=ポストアポカリプス的なジャンル分けをされているのだろうか。何となくディストピアといえば、一見理想的な社会であるものの裏では超管理社会として人々の自由がない……といったような印象がある。しかしこの小説はあらすじを読んでも冒頭を読んでもどうも文明崩壊後の世界にしか見えない。主人公も

The world ended a long time ago but it is still beautiful.

と表現している通りだ。

とはいえ、乾いて荒涼した土地になってしまったアイルランド(たぶん西側海岸)と、主人公の無味乾燥気味な語りが非常にマッチしていて雰囲気抜群の小説である。これはいずれ読みたい。

6月試し読みまとめ

Atlantis United 

Atlantis United: Sports Academy Book 1 (English Edition)

Atlantis United: Sports Academy Book 1 (English Edition)

 

ジャンル:スポーツ、児童文学

ページ:208

あらすじ:Joeは分かっていた。どんなにフットボールを愛していても、自分には才能がないことを。しかしJoeはとある島へ行き、そこで4人の子どもたちとチームを組むことになる。

シリーズもの1作目。フットボールとサッカーの違い(そもそも違いはあるのか?)すら分からない私でも案外楽しく読めそうだった。落ちこぼれ5人組がトッププレーヤーになっていくような流れだろうか。王道。

The Skin Nerd

The Skin Nerd: Your straight-talking guide to feeding, protecting and respecting your skin (English Edition)

The Skin Nerd: Your straight-talking guide to feeding, protecting and respecting your skin (English Edition)

 

ジャンル:美容、健康、ノンフィクション

ページ:288

あらすじ:スキンケアのエキスパートである作者が、肌を健康に導くためのアドバイスをまとめた本。

ずっと気になっていた本。作者は同名のサイト(肌についてのコンサルティングとストア)を運営している美と健康のスペシャリストであり正に肌オタク。「これを読むだけで肌が良くなるわけじゃない。読んで実践する、これが最初の1歩」だとか「肌は単なるアクセサリーではなく、体の健康状態を反映したもの。美容目的だけじゃなく健康目的に肌を整えるべき」など序盤から刺さる言葉がたくさん。

ただフォントが固定されていてKindleでは若干の読みづらさを感じた。おしゃれフォントだからしょうがないね。

Home To Cavendish 

Home To Cavendish (English Edition)

Home To Cavendish (English Edition)

 

ジャンル:歴史、家族

ページ:303

あらすじ:アイルランド内戦の最中、Cavendish家のEdithは日々に退屈していた。80年後、Elenoreは子どもの頃過ごしたCavendish家をゲストハウスに作り替えようとしていた。しかし家の中からEdithについての運命的な発見をする。

Elenoreは付き合っている男性(不動産デベロッパー)と一緒に事業を起こそうと考えているのだが、どう見ても騙されているようにしか見えない。妻とはもうすぐ離婚するから、そしたら結婚しよう。なんて常套句じゃないですか?

Elenoreの言う「Cavendish家には家自体に魂がこもっている」というのはすごく理解できる。

Ann Devine, Ready for Her Close-Up 

Ann Devine, Ready for Her Close-Up (English Edition)

Ann Devine, Ready for Her Close-Up (English Edition)

 

ジャンル:ユーモア

ページ:368

あらすじ:Annは末っ子まで育て切り、やっと人生に一区切りついた心地だった。しかしKilsudgeon Tidy Towns Committeeのメンバーに推薦され、また日々があわただしくなってしまう。

ドタバタ系コメディ。作者は現役芸人で、小説の語り口も軽やか。

他のレビューでは'Oh My God, What a Complete Ashling'に似た雰囲気と評されていることが多かった。

Bringing Death to Life 

Bringing Death to Life: An Uplifting Exploration of Living, Dying, the Soul Journey and the Afterlife (English Edition)

Bringing Death to Life: An Uplifting Exploration of Living, Dying, the Soul Journey and the Afterlife (English Edition)

 

ジャンル:スピリチュアル、セルフヘルプ

ページ:384

あらすじ:私たちは死を特別なものにしがちである。それを捨て去って、普通のことのように、当然のように死を受け入れるにはどうしたらいいか。複数の著者が自身の体験と共に語る。

セルフヘルプ・ブックなんてジャンル初めて知った。グーグルさんが言うので間違いはないだろう。

非常に丁寧な語り口で、最初は著者全員がかわるがわる自己紹介と「死」について向き合った体験を語る。親の死がきっかけ、という人が多い印象。天使などのスピリチュアル話も出てくるらしい。

5月試し読みまとめ

The Border 

The Border: The Legacy of a Century of Anglo-Irish Politics (English Edition)

The Border: The Legacy of a Century of Anglo-Irish Politics (English Edition)

 

ジャンル:ノンフィクション、歴史、政治

ページ:192

あらすじ:20年前まで、アイルランド北アイルランドの間には明確な国境があった。グッドフライデー合意の後、そのボーダーはほぼ消えさったはずだった。Brexitが決まるまでは。過去1世紀の歴史をたどり、現代にまで続くイギリスとアイルランドの政治問題を明らかにしたノンフィクション。

他の本でも「Brexitが決まって初めて、イギリスの人たちは『そういや自分たちの国って他国と地続きで接しているんだった』と気がついた」と書かれていたほど、置いてけぼり感が強かった北アイルランドアイルランドとの国境が意識されるのは、いつも何か問題があった時ばかりです。

内容はかなり深いと思います。歴史の流れや主要人物を押さえているのは当然としてそこから詳しい解説をしていくので読むのに時間がかかりました。

The Wrong Country 

The Wrong Country:  Essays on Modern Irish Writing (English Edition)

The Wrong Country: Essays on Modern Irish Writing (English Edition)

 

ジャンル:ノンフィクション、文学、詩

ページ:294

あらすじ:アイルランド近代文学について論じた本。Y.B.イェイツから現代にいたるまで歴史、文化の帰属性や売り方、デジタル時代におけるこれからのアイルランド文学について語る。

文学とは言うものの、作者が詩畑の人なので詩の話題が多めです。本の題はアイルランドの作家ヒューゴ・ハミルトンの作品"Speckled People"からの引用です。

You can't be afraid of saying the opposite, even if you look like a fool and everybody thinks you're in the wrong country, speaking the wrong language. 

めちゃくちゃ良い言葉。

The Scholar 

ジャンル:シリーズ物、ミステリー

ページ:377

あらすじ:アイルランドで最大手の製薬会社の後継者である少女が死体で見つかった。Cormacはさっそく捜査に乗り出すが、調べれば調べるほど、少女の死と、自身の恋人Emmaの関連が明らかになっていく。

"The Ruin"と同じく、Cormac Reillyを主人公(探偵役)とするシリーズ物です。前作もそうでしたが、書き出しが超魅力的なんですよね。引き込まれます。Cormacも人間臭くて好きなキャラクターです。

BOLD, BRILLIANT & BAD 

Bold, Brilliant and Bad: Irish Women from History (English Edition)

Bold, Brilliant and Bad: Irish Women from History (English Edition)

 

ジャンル:ノンフィクション、歴史

ページ:352

あらすじ:アイルランドにはさまざまなジャンルで活躍した女性が多くいる。その女性たちをカテゴリーごとに紹介した本。

索引のみで試し読みが終わってしまった…悲しい。とはいえ、名前から気になるページに飛べるのはありがたい仕様です。

The Gift of Friends 

The Gift of Friends (English Edition)

The Gift of Friends (English Edition)

 

ジャンル:家族、人生

ページ:480

あらすじ:Kingfisher Roadは平和で穏やかな住宅街。10軒あるうちの1つに、婚約者とともに引っ越してきたDanielleは、近所に住む4人の女性と交流を深めていく。

去年感想を書いた"Letters to my daughters"の作者Emma Hanniganの遺作となりました。彼女の書く物語はどれも温かみにあふれていて安心して読むことが出来ます。あと何でか女性の気持ちの機微が具体的で現実感あるんですよね。久々に息子が帰ってきて何週間か泊まるよ、と言った時の嬉しさとめんどくささの入り混じったような感情とか。

rokuyon64.hatenablog.com

 

レビュー:The Earlie King & the Kid in Yellow

The Earlie King & the Kid in Yellow (English Edition)

The Earlie King & the Kid in Yellow (English Edition)

 

ジャンル:ディストピア、ロマンス(他殺体の詳しい描写程度のグロあり)

ページ:368

あらすじ

アイルランドに雨が降る。Digital catastropheの後で、雨は止まなくなり、アイルランドは沈みつつあった。海は酸で汚染され、魚が住めなくなってしまった。そのアイルランドを支配しているのがThe Earlie Kingだった。彼は親衛隊を使って街を監視していた。そんな中、黄色づくめの少年(Kid)がKingの所へ忍び込む計画を立てていた。

雨と炎、KIDとKINGの物語。

登場人物

KID

黄色いレインコートを着た少年。年齢は13~15歳、正確なところは本人もわからないらしい。街の北のスラムにあるアパートで兄と暮らしている。本名をひた隠しにしているため、兄と友人Clemしか名前を知らない。

昔はKingの使いっ走りをしていたが、ある時からKingと対立するようになる。街中にハートマークの中に「T」のサインを残す。

The Earlie King

街の支配者。至る所に王冠に目のマークを描かせている。プライベートやそれまでの経歴は一切謎で、雨が降り出し、海が酸でやられた後にどこからか現れて拳一本で街の支配者へ昇りつめた。10人の親衛隊(Earlie Boys)と、その他使いっ走り(runner)がいる。

最後まで読んでもよくわからない人でした。悪でもなく、正義でもなく。ただステゴロでテッペンとったのはロマンがあります。

T

Kingの娘。とても良い子という評判だった。KIDの語る物語と彼自身を心から愛していた。物語開始時には既に故人。

babba

babyのこと。Kidはこのbabbaの行方をずっと探している。

O'Casey(オケーシー)

記者のような野次馬のような。Earlie Boysや王の行動を密かに探り、KIDの行方を追っている。

この小説の語り手です。章ごとに表現方法が異なるのですが、8割方O'Caseyが調べた、もしくは語ったことになっています。

感想

ピーターパンが、大人になるまで

この小説は色んな要素を持っています。内容だけでもディストピア(ポストアポカリプス)、環境破壊、国家転覆、宗教その他もろもろ。文章構成にしたって章ごとにバラバラ。ト書きになっている場面もある。文体は芝居がかって気障な感じ。それ以外にもいろいろ。要素を全て書きだすのは多分私には無理です。

 

それでも、この話はKIDが中心、彼のための物語です。KID自身や彼を追う人間が順番に現れてはKIDについて語っていきます。

その中でKIDは1度だけピーターパンと呼ばれます。そして1度だけピーターパンと自称します。文明が崩壊しつつある世の中で、物語や詩を諳んじることのできるKIDにピーターパンの話をねだったTとの会話でのことでした。そこでTは自らをウェンディにたとえています。

 

このKID=ピーターパンは、作中を一貫している図式なのではないか、と思います。この小説は愛することを知らないピーターパン(KID)が、最終的に愛を獲得していく物語なのです。

そう考えると、KIDが少年である必然性が見えてきます。この主人公はちゃんとした名前を持っているのですが、作中で呼ばれることはほぼありません。KIDは常にKIDと呼ばれます。そのことでKIDは1個人でありながら普遍的な少年の象徴にもなり得ています。KIDは何物にもとらわれない自由を持ち、圧倒的支配者であるKingにすら反抗できる。恐れを知らない子どもだからこそです。

O'Casey視点のKID像とKID視点がわかりやすいかと思います。O'Caseyの見るKIDはミステリアスで自由。支配者のKingの支配を唯一覆すことができるダークヒーローのよう。対してKID視点だと、世界を中途半端に知っていてまだまだ未熟な、普通の少年でしかありません。フック船長と勇敢に戦うピーターと、強がりながらもウェンディ(母)の愛を欲しがるピーターの2面性と重なります。

 

しかしピーターパンとKIDには大きく違う点があります。自由で気紛れ、愛着が長続きしないピーターパンに対し、KIDは最初から最後まで一貫してTを愛し、執着しています。KIDが作中で語るTとの思い出はどれも美しく彩られていました。Tは大きな母性とでも言うべき愛でKIDを包みます。

愛を知らなかったKIDは刷り込みのようにTを愛しました。たぶん、KIDがTを愛した理由は「自分を愛してくれたから」という1点のみなんですよ。

だから、とりあえずTとの愛の証であるbabbaを奪還はしてみるけれど、その後どうしたらいいのかわからない。愛されて、愛を返すことはできる。それが愛を与える側になるとKIDはやり方を知りません。

ある意味、そこがこの物語のスタートです。よくわからないままにネバーランドを飛び出したピーターパンは親としての愛を獲得することができるのか。

完成された世界観

この小説はとにかく世界観が完成されていて素晴らしいと、他の人もレビューで書いていました。荒廃したダブリン、降りやまない雨、プラスチックのレインコート越しの会話。確かにこの世界観を味わうだけでもこの本を読む価値はあるのでは。

さらに、この世界観を支えている文体にも意味はあるんじゃないかと思うんですよね。劇風の語り口、章によっては脚本のト書きになっていることもある。元々が舞台だったピーターパンのオマージュなんだろうかとも考えてしまいます。

長く冷たい雨の世界で、KIDは愛を知り、愛のために生き、愛を学ぶようになっていきます。それはつまり大人になると同時に、彼が少年でなくなることを意味します。ただの人になった彼に最早主役の器はなく、舞台を降りるしかありません。

作者は冒頭でこの物語を「悲劇」と表現していました。けれど最後まで主役だが愛を知ることのなかったピーターパンより、KIDはずっと幸せだったのではないかと、そう思います。

作者について

Danny Denton(ダニー・デントン)

これがデビュー作です。それ以外全く情報が出て来ない。YouTubeで本人がちょろっと朗読している動画あったので貼っておきます。

youtu.be

ちょっと聞き取りづらいですがエエ声です。

4月試し読みまとめ2

Vet On A Mission 

Vet On A Mission (English Edition)

Vet On A Mission (English Edition)

 

ジャンル:伝記、動物

ページ:272

あらすじ:獣医の作者による伝記。3人目の出産を控え、動物クリニックを新たに開設しようと考えた。しかしそれは中々の困難を極め……。

あふれ出るドリトル先生感。伝記と言いつつ、訪れた患者(獣?)はプライバシー保護のため多少脚色したり変えたりしている部分があるそうです。完全に小説として読めるくらい世界観が出来上がっていました。

The Seven-Day Soul 

The Seven-Day Soul: Finding Meaning Beneath the Noise (English Edition)

The Seven-Day Soul: Finding Meaning Beneath the Noise (English Edition)

 

ジャンル:マインドフルネス

ページ:336

あらすじ:心理学者でありマインドフルネス瞑想の講師も務める著者が、日々の生活に寄り添って霊的・精神的なものについて解説した。考え方の改革と人生にそれをどう活かすかを平易な文で書く。

とてもわかりやすいです。私はひねくれた人間なのでこういうスピリチュアル系を斜めから見てしまいがちなのですが、内容というより文章から透けてみえる著者の人格を魅力的に感じました。もっとこの人の考えに触れてみたい、というか。自身で言うように敬虔なカトリック教徒として育ちながらキリスト教を他の宗教・思想と同一に並べてしまえるのは、すごい、のひと言です。

何より、「考えや習慣を改めるには、まず言葉というものには限界があるということを知れ」と書いていたのが非常に好感度高いです。

Diary Detectives

Diary Detectives (Cass and the Bubble Street Gang Book 3) (English Edition)

Diary Detectives (Cass and the Bubble Street Gang Book 3) (English Edition)

 

ジャンル:ミステリー、児童書

ページ:191

あらすじ:CassとLex、Nicholasの仲良し3人組シリーズ3作目。3人はある日、持ち主不明の日記を拾う。そこには恐ろしい犯罪計画が記されていた…!

主人公は10歳で、対象年齢もそのくらいを想定しているのか大分簡単な言葉で書かれています。挿絵もたっぷり。しかし平易で短い文ながら、物語の先を知りたくなる文章にもなっています。うーんさすが。

何より、児童書でKindle版が出ているのは貴重です。The O'Brien Pressは元々好きな出版社なのですがさらに高感度上がってしまう。

If She Returned

If She Returned: An edge-of-your-seat thriller (English Edition)

If She Returned: An edge-of-your-seat thriller (English Edition)

 

ジャンル:サスペンス

ページ:448

あらすじ:20年近く探し続けていた行方不明の姪Bethが見つかった。彼女は本物のBethなのか?なぜ今になって急に現れたのか?同時に、都市伝説が絡んだ連続殺人事件が勃発する。

"When She Was Gone"、"After She Vanished"に続くDanniganシリーズ3作目。行って、消えて、帰ってきました。最初の章は都市伝説Mother Joanに絡んだ事件が語られています。こういうSCP財団的なの好きです。書き方もネットに投稿された体をとっている場面があり、とても現代らしい小説だと感じました。

Becoming Belle 

Becoming Belle (English Edition)

Becoming Belle (English Edition)

 

ジャンル:歴史、恋愛

ページ:371

あらすじ:19世紀、ヴィクトリア朝時代の英国。軍人の家庭に生まれた3姉妹の長女Isabelはずば抜けた容姿と歌の才能を持っていた。自身の実力を舞台で輝かせたいと、ロンドンに出たIsabelはBelleと名乗り劇場で歌うようになる。仕事、そして恋とBelleの人生はめまぐるしく変化していく。史実に基づいた物語。

ダウントンアビーの、小規模版のような雰囲気でした。Isabelがまた愛らしいんです。性格良し、家事できる、美人て最高じゃないですか。

Belle Biltonは実在した人物です。女性は結婚して家に入るのが当然だったこの時代、身ひとつでアイルランドからロンドンへ出ていったBelleも、それを許した父も立派な人だと思います。

4月試し読みまとめ

Apple of My Eye

ジャンル:サスペンス

ページ:400

あらすじ:Eliは妊娠してからというもの、体調の優れない日々が続いていた。そんな中不審な手紙が届き、Eliは疑心暗鬼に捕らわれるようになってしまう。

妊娠ってこんなに辛いの?と思わせる描写が長く続きます。母になるって大変なのですね……。体調や気分が優れず、夫を疑ってしまう・夫の気遣いがまるで子ども扱いされているようでイライラする自分を嫌悪してしまうあたり、Eliは本当に真面目で優しい人なのでしょう。夫Martinも彼は彼で、「そんなに心配しなくて大丈夫」と言われたことに対し「でもしちゃうんだ、好きだからね」と返せるイケメンっぷり。

Orchid and the Wasp 

Orchid and the Wasp: A Novel (English Edition)

Orchid and the Wasp: A Novel (English Edition)

 

ジャンル:家族、成長

ページ:346

あらすじ:Gael Foessは中々に厳しい人生を送っていた。仕事ばかりで子どもに関心のない両親、Gael以外守ってくれる人がいない弟。不満をこぼしながらも生きていたある日、父が家族を捨てた。弟を守るため、Gaelはロンドン、そしてニューヨークを旅することになる。

文章がビビッドで素敵、と思っていたら他のレビューサイトでも同様に言われていました。わかる。比喩の使い方が鮮やかです。

余談ですがOrchid(蘭)をずっとOrchardと空目してました。蘭と蜂というと、蜂に擬態してオス蜂を誘うオフリスが思い浮かびますね。

The Healer 

The Healer: a dark family drama (English Edition)

The Healer: a dark family drama (English Edition)

 

ジャンル:ミステリー、家族

ページ:395

あらすじ:1940年代のアイルランド、Mollyのような女の子にとって生きていくのは難しい時代だった。容姿端麗で特別な力を持つ子はなおさら。人を癒し、出血を止める力を持つと言われるMollyは、成長するにつれて暴力と犯罪に巻き込まれていく。

これ主人公もサイコパスじゃないですか?というくらい思考回路が理解できませんでした。でも面白くて読んじゃう…不思議…。

Mollyが本当に特別な力を持っているかどうか、試し読みの範囲では判別できませんでした。周りと本人がそう思い込んでいるだけなのか、それとも本当なのか。どちらにせよ、癒しの手をもつ人間は誰に癒されればいいの……というお話みたいです。

Bumpfizzle the Best on Planet Earth 

Bumpfizzle the Best on Planet Earth (English Edition)

Bumpfizzle the Best on Planet Earth (English Edition)

 

ジャンル:児童書、ユーモア

ページ:128

あらすじ:Bumpfizzleは異星人だ。惑星Plonkからとある使命を帯びて地球へ降り立ったのだ。あるいは、Bumpfizzleは10歳の普通の男の子だ。最近両親が生まれたばかりの弟に構ってばかりで嫌気がさしている。どちらがBumpfizzleの本当の姿なのかは、読者次第。

試し読み範囲少なかったのでいまいち文体だとか雰囲気はわからないのですが、日記風につづられているパートと普通の小説体(1人称)で書かれているパートが交互に出てくるようです。日記風に書かれているのが異星人としてのBumpfizzleかな…。

When All is Said 

When All Is Said: A Novel (English Edition)

When All Is Said: A Novel (English Edition)

 

ジャンル:人生、家族

ページ:326

あらすじ:これは一晩で語られた、1人の男の人生の話である。6月、土曜の夜、ホテルでMaurice Hanniganは5杯の酒を注文した。それぞれ1杯ずつを人生で関わった5人に捧げ、Mauriceはその人物との話を物語るのだった。

聞き手=読者のパターンでした。『ライ麦畑でつかまえて』形式ですね。穏やかで客観的な語り口と思ったら、たまに感情というか、語り手の人格が見えることもある。波のように寄せては返す文体でした。他サイトで「美しい文章」と言われていたのも納得です。