紹介:Silence Under A Stone
本情報
ジャンル:ヒューマンドラマ
ページ:292
*Kindleだと3章まで試し読みができます。
あらすじ
ダブリンの療養所で、Harriet Campbell(ハリエット・キャンベル)は人生で一番幸せだった時を思い返していた。
息子のJames(ジェームズ)が生まれた頃だ。1920年代、ハリエットと夫Thomas(トーマス)は 熱心な長老派教徒だった。しかし当時のアイルランドはカトリック派が優勢となっていた。ジェームズが大きくなるにつれ、ハリエットは信仰か家族かを選ばなければならなくなる。
試し読みしての感想
書き出しの雰囲気
『わたしの本当の子どもたち』に似ている気がします。それか大体の回想から始まる物語の書き出しは似通ってしまうのかもしれません。
『わたしの~』と違い、ハリエットは現状にそこそこ満足しています。看護師が面倒をみてくれているのもわかっているし、仲の良い看護師さんだっています。それでも人生で一番幸せだった時を思い返してみたくなるのは人の常なのでしょうか。確かに若い頃を回顧している場面は映画のシーンのごとき描写で素敵でした。
カトリックとプロテスタント
当事者でない自分からするとすごく複雑で言及することすら憚れるような気がするのですが、この小説では初っ端からカトリックとプロテスタントの溝を感じさせてきます。といっても、いがみ合うのではなく「あの子はいい子だけどカトリック」というような一文にじわじわ表れてきます。
主人公夫婦は長老派(プロテスタント)、アイルランドはカトリックが多数派を占めています。かつては英国によるプロテスタント植民計画なんかもあったそうですが結果は現状の通り。多数派の中で少数派が信仰を守っていくには、想像もつかないですが、困難なことなのかもしれません。
ちなみにアイルランドは国として宗教に中立の立場です。
著者について
キャバン州生まれ、ダブリン北部在住。小説は今作が一作目です。御年82歳。
セカンダリースクールの先生をされていたみたいですね。