紹介:Tangerine
本情報
ジャンル:スリラー
ページ数:325
文章:乾燥した感じ
*Kindleだと2章まで試し読みができます。
あらすじ
舞台は1956年、モロッコ北部の都市タンジール。Alice(アリス)は夫John(ジョン)についてモロッコへやってきたが、国の雰囲気になじめずいた。そこへ1年近く疎遠になっていた親友Lucy(ルーシー)が訪ねにやってくる。最初こそ喜んだアリスだったが、ルーシーが来てから身の回りで不可思議なことばかり起こりはじめる。
試し読みしての感想
タンジール
モロッコ北部の都市、スペインやジブラルタルからのフェリーも多い国際都市だそうです。帝国主義時代から第一次世界大戦にかけて領地的にあれこれもめた地域でもあります。なんとあのイブン・バットゥータの出身地だとか。彼の名を冠した空港まであります。
作中では暑く、活気に溢れた街として描写されています。毎週火曜日が市場の日で、主人公アリスはその日を忌み嫌っています。しかしこの空気感きらいじゃないです。文章を通して陽射しと砂ぼこりの匂いと人の活気が伝わってくるようでした。この小説を指して「ヒッチコックの映画みたいだ」との評が紹介されていましたが、ヒッチコックは置いておいて、確かに映画のような情景でした。
アリスとルーシーの2視点
物語は2人の視点で進むようです。ルーシーが変な男に絡まれて困惑しているところとか、ササっと助けに入ってあげたいくらい可憐でした。あらすじ読む限り怪しい女として描かれている彼女がこれほどかわいらしいのも罠なのでしょうか。信じられません。
著者について
これがデビュー作。大学で18世紀ゴシック小説の研究をしていたそうです。言われてみればデュ・モーリアの雰囲気に近いような気がします…と思ったらすでにアマゾンの紹介欄に書いてありました。