紹介:Travelling in a Strange Land
本情報
ジャンル:旅、親子愛
ページ:176
あらすじ
一面の雪。こんな日に車を出そうとしているTom(トム)を、Lorna(ローナ)は命知らずだと止めた。しかしトムはどうしても息子を迎えに行かなければいけない。ボートのチケットをポケットに入れ出発した。
1人孤独に旅をするトムは、知らず自分の過去を振り返っていた。別れた妻のこと、今迎えに行っている息子のこと、そしてもう1人の息子のこと。哀しくも心温まる物語。
試し読みしての感想
旅のはじまり
試し読みの範囲では、トムが車で出発して少し経ったところまでで終わります。最後にラジオをつけるのが格好いい。これからトムはボートを乗り継いではるばるイングランドのサンダーランドまで大学生の息子を迎えに行くことになります。出発地点が北アイルランドのベルファストなので、その距離約383キロメートル。グーグルのルート案内では車とフェリーで6時間半と出ました。東京からと置き換えるとざっくり仙台とかそのあたりまで行けそうです。
雪の世界
雪の描写がすごく良かったです。静かで物音が吸い込まれている、世界に1人ぼっちのようなあの感じが文章を通して伝わってくるような。トムの過去の闇や孤独が旅の中で明らかになっていくそうですが、この雪はトムの孤独感を表しているのかもしれません。
トムは責任感のある人物ですが、旅のサバイバルキットの中にお気に入りのCDたちを持って行くあたりユーモアもありそう。なかなかの好人物です。
著者について
ベルファスト出身。短編集や小説を多く出していて、受賞歴もかなりある作家です。
「作家の中の作家」とまで言われていましたから、間違いなく現代北アイルランドを代表する作家の1人ではあるのでしょう。