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アイルランドの本(小説・児童書・YA)を紹介するブログです。

THE JOURNAL.IE BEST IRISH PUBLISHED BOOK OF THE YEAR 2018ショートリスト作品

An Post Irish Book Awardsの1部門である、THE JOURNAL.IE BEST IRISH PUBLISHED BOOK OF THE YEAR 2018。

アイルランドについて書かれた本が対象となっています。そうしたジャンルだからか、ノンフィクションや自然、歴史系の本が多くノミネートされています。

An Post Irish Book Awardsについては↓
rokuyon64.hatenablog.com

受賞作品

LIGHTHOUSES OF IRELAND – AN ILLUSTRATED GUIDE TO THE SENTINELS THAT GUARD OUR COASTLINE(by ROGER O’REILLY) 

Lighthouses of Ireland: An Illustrated Guide to the Sentinels that Guard our Coastline

Lighthouses of Ireland: An Illustrated Guide to the Sentinels that Guard our Coastline

 

GPSも何もなかった時代、船乗りにとって唯一の道しるべが灯台だった。アイルランドでは5世紀に灯台(の原型のようなもの)が作られている。それから船乗りは何かあると灯台の光を頼りにしてきた。灯台を中心にアイルランドの歴史を振り返る。

*2018年12月現在紙媒体での販売しかないようです。

前にアイルランド海賊を紹介する本を読みました。そこにもあった通り、そして地図を見てわかる通り、アイルランドは海と共に暮らしてきた国です。ロマンですよねえ。ただその中で灯台に注目するというのは新しいかもしれません。

余談ですが、この本を出版する時に作者か誰かが灯台型クッキー?を焼いていたのが印象に残っています。

THE GREAT IRISH WEATHER BOOK(by JOANNA DONNELLY & FUCHSIA MACAREE)
The Great Irish Weather Book

The Great Irish Weather Book

 

気象学者の著者が子ども向けに、気象に関するあれこれを解説した本。かわいらしいイラスト付き。

*2018年12月現在、紙媒体での販売しかないようです。内容的に当然かなとも思いますが。

英国人と同じように、と言うと怒られてしまうかもしれませんが、アイルランドの人々も天気の話題が好きなようです。著者はMet Éireann(気象庁的なもの)に勤める人で、テレビで気象予報も行っているその道のプロ。

DR HIBERNICA FINCH’S COMPELLING COMPENDIUM OF IRISH ANIMALS(by ROB MAGUIRE & AGA GRANDOWICZ) 
Dr Hibernica Finch's Compelling Compendium of Irish Animals

Dr Hibernica Finch's Compelling Compendium of Irish Animals

 

アイルランド全国を巡り、そこに住む動物に誰より詳しい著者が両生類から哺乳類、海の動物まで解説した本。子ども向けに平易な文、またリアルな絵をふんだんに使って書かれている。

*これも紙媒体のみ。図鑑やイラストが使われているものはどうしてもそうなりますね。

出版社のHPで数ページ、サンプルが見られます。ぼんやり眺めていて良いなと思ったのはアイルランド語でその動物を何と呼ぶか、が書いてあることでしょうか。これはアイルランド語が捗ります。ページレイアウトは研究者のノート風で、子どものテンションもあがりそうです。

PEOPLE ON THE PIER(by MARIAN THÉRÈSE KEYES & BETTY STENSON) 
People on the Pier

People on the Pier

 

ダン・レアリーの埠頭には、世界中から人々が訪れる。そこの歴史と美観を写真と共に綴った本。例によって紙媒体のみ。

ざっとあらすじを読んだ感じ、ソーシャルメディアの企画でもあったようです。埠頭だけでなく訪れる人々にも焦点を当てています。本の題名そのままの紹介になってしまった。

HUMANOLOGY: A SCIENTIST’S GUIDE TO OUR AMAZING EXISTENCE(by PROFESSOR LUKE O’NEILL) 
Humanology: A Scientist's Guide to Our Amazing Existence (English Edition)

Humanology: A Scientist's Guide to Our Amazing Existence (English Edition)

 

アイルランドで激熱な科学者が人間についてウィットを交えながら解説した本。生と死、そしてこれからの人間についてまで語る。

書き出しをちょろりと読んだら、2人の人間と蛇について語っていました。お堅い学術書ではないようです。その後もアイルランドにおける教会の教えなどに寄り道しつつ、きちんと細胞やら何やらの話に移っていました。書き出しで興味を惹きつつ本題に入っていく手法。落語家もかくやでした。

BLAZING A TRAIL: IRISH WOMEN WHO CHANGED THE WORLD(by SARAH WEBB & LAUREN O’NEILL) 
Blazing a Trail: Irish Women Who Changed the World

Blazing a Trail: Irish Women Who Changed the World

 

女性パイロット・レディヒース、看護師ネリー・キャッシュマン。女海賊グレース・オマリーに、ダンサーのニネット・ド・ヴァロア……。アイルランドには世界を変えてきた女性がたくさんいる。彼女たちの活躍をイラスト付きで描いた本。

今年のフェミニズム運動とも相まって、ツイッターで言及されていることが多い本だった印象です。そして児童書のくくりでもあるので、そっちの部門で受賞しています。

 

以上、受賞&ノミネート作品でした。イラスト付きのものが多く、Kindle版でほぼ出ていない・専門家が子ども向けに書いた本というところが共通していそうです。この中で灯台について書いた本が受賞したのは海への関心の高さがうかがえるでしょうか。題材もちょっと斬新ですし。