THEJOURNAL.IE BEST IRISH-PUBLISHED BOOK OF THE YEAR 2019ショートリスト
An Post Irish Book Awardsの1部門である、THE JOURNAL.IE BEST IRISH PUBLISHED BOOK OF THE YEAR。
アイルランドについて書かれた本が対象となる。今年は去年もノミネートされていた作品のシリーズが多い気がする。
An Post Irish Book Awardsについては↓
受賞作品
CHILDREN OF THE TROUBLES(by JOE DUFFY & FREYA MCCLEMENTS)
ジャンル:歴史
ページ:464
あらすじ:9歳のPatrickは将来司祭になるのが夢だった。しかし15歳の夏、彼は「Trouble」によって殺された初の子どもの犠牲者となってしまった。100組以上の家族にインタビューし、知られざる犠牲を明らかにした。
著者:Joe Duffy…テレビ司会者。Freya McClements…ジャーナリスト、プロデューサー。主に北アイルランドで活躍する。
「Trouble」はIRAの名が有名になった北アイルランド問題のことだ。簡単に言って北アイルランドの所有を主張する英国と、アイルランド島の統一を目指す統一支持者の地域紛争である。本には最初に犠牲となったであろう子どもたちの顔写真と、名前や享年が書かれており、それだけで胸にくるものがある。本文も事実や家族の証言を淡々と載せているだけなのが、一層悲惨さを訴えてくるように思える。犠牲になるのはいつも名も無き弱者なんだよな…。
ノミネート作品
IRELAND THROUGH BIRDS(by CONOR W. O’BRIEN)
Ireland Through Birds: Journeys in Search of a Wild Nation (English Edition)
- 作者:Conor W. O'Brien
- 出版社/メーカー: Merrion Press
- 発売日: 2019/10/17
- メディア: Kindle版
ジャンル:鳥、紀行
ページ:201
あらすじ:アイルランドに生息する12種類の鳥を紹介する。著者がアイルランド中を、季節を通して旅して調査した記録。
著者:Birdwatch Irelandのメンバーの1人。
著者の情報がほとんど出て来なくて焦る。本の最初に、「これは鳥の本であるが、場所の本でもある」と書かれている通り、鳥に出会った場所についてもかなり詳しく、情緒豊かに描写してある。
BEAUTIFUL AFFAIR(by MIKE HANRAHAN)
Beautiful Affair: A Journey in Music, Food and Friendship (English Edition)
- 作者:Mike Hanrahan
- 出版社/メーカー: HarperCollins
- 発売日: 2019/10/03
- メディア: Kindle版
ジャンル:音楽、伝記
ページ:304
あらすじ:ミュージシャンであり料理好きでもある著者が自身の半生とともに1970年代から現代までの音楽やアイルランドの家庭料理の流れを振り返る。
著者:クレア出身。ギタリストとして複数のバンドで活躍。シンガーソングライターでもある。表題“Beutiful Affair”は自身最大のヒット曲でもある。
語り口軽やか、1章ごとが短く非常に読みやすい文章である。かわいらしい挿絵や、著者と家族の写真がふんだんに使われていて、日記を読む感覚で進められる。さらに著者が母や祖母から習ったレシピまで載せてくれていて実用性も文句なし。あらすじでは「料理好き」と書いたが、著者は料理を学びんでいたくらいなのでほぼプロと言ってもいいだろう。
DARE TO DREAM – IRISH PEOPLE WHO TOOK ON THE WORLD (AND WON!)(by SARAH WEBB)(ILLUSTRATED by GRAHAM CORCORAN)
Dare to Dream: Irish People Who Took on the World and Won!
- 作者:Sarah Webb
- 出版社/メーカー: O'Brien Pr
- 発売日: 2020/01/19
- メディア: ハードカバー
ジャンル:人物、歴史
ページ:64
あらすじ:小さな島国アイルランドから、世界に羽ばたいていった人々を紹介する。独立運動の指導者マイケル・コリンズから女性労働組合の立ち上げメンバーロージー・ハケット、ケルト文化復興に尽力したグレゴリー夫人。南極探検家トム・クリーンなど。
著者:子ども向けから大人向けまで幅広く書く。10歳前後の子ども向けシリーズ「Ask Amy Green」が人気。
去年は同シリーズで活躍したアイルランドの女性を紹介する本がノミネートされていた。64ページと絵本にしては長めだが、イラスト付きで国の歴史が学べるのはいい。
A HISTORY OF IRELAND IN 100 WORDS(by SHARON ARBUTHNOT, MÁIRE NÍ MHAONAIGH, GREGORY TONER)(ILLUSTRATED by JOE MCLAREN)
A history of Ireland in 100 words (English Edition)
- 作者:Sharon Arbuthnot,Máire Ní Mhaonaigh,Gregory Toner
- 出版社/メーカー: Royal Irish Academy
- 発売日: 2019/11/28
- メディア: Kindle版
ジャンル:歴史
ページ:320
あらすじ:the Royal Irish Academy’s Dictionary of the Irish Languageより、アイルランドの歴史に関するアイルランド語単語を100個紹介。
著者:Sharon Arbuthnot……ベルファストのクイーンズ大学の研究者。
Máire Ní Mhaonaigh……ケンブリッジ大学教授。専門はケルト及び中世。
Gregory Toner……ベルファストのクイーンズ大学教授。専門はアイルランド語。
Joe McLaren……フリーのイラストレーター。芸術系の学校で教鞭もとっている。
題名からして子ども向けかと考えていたが、その実、中身はかなり本格的である。この本の使い方からアイルランド語の規則、発音などについてしっかり解説してから100語に入っていく。
THE GREAT IRISH SCIENCE BOOK(by LUKE O’NEILL)(ILLUSTRATED by LINDA FÄHRLIN)
ジャンル:ノンフィクション、科学
ページ:96
あらすじ:トリニティカレッジの教授が綴る、この世界についての話。マクロな話からミクロな話まで、宇宙の成り立ちから分子の世界まで、縦横無尽に語る。
著者:トリニティカレッジで教授を務める。専門は免疫学。
今年の科学本枠。子ども向けにイラストたっぷりで世界の仕組みを解説している。
著者は去年も“HUMANOLOGY”で同賞のショートリスト入りを果たしていた。